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乙女ゲーの辺境伯に転生したので奴隷落ちする悪役令嬢を金貨2万枚で救おうと思います(編集中)  作者: トンビが鷹を産んだトンビの方
第8章 帝国の大和撫子と英雄の末裔

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第249話 北へ続く街道

帝国へ続く街道を馬車は一定の速度で北へ進んでいた

車輪の音が静かに響き 窓の外には広大な草原が広がり

時折 小さな村や畑が姿を見せる

レオンは窓の外を眺めながら小さく息を吐いた


「こうしてのんびり馬車に乗るのも久しぶりだな」


向かいに座るエミルが微笑む


「そうですね……こうして景色を眺めながら旅をするのも悪くありません」


「ああ いつもは仕事か訓練ばっかりだったからな」


穏やかな時間が流れる

しばらく馬車が進むとレオンは街道へ視線を向けた


「思ったより人が多いな」


街道には商人の馬車や旅人の姿が見える

活気は普段とほとんど変わらない

エミルも窓の外を見る


「私も少し驚きました 魔獣が活性化していると聞いていましたので」


レオンは頷く


「ああ でも街道は騎士団が優先して警備してるんだろうな 物流が止まれば領民の生活にも影響が出る だから街道だけは守らなきゃならない」


「そうですね」


エミルも静かに頷いた


「だからこそ今回の調停が無事に終われば 両国で協力して街道を守ることもできます」


「ああ 争ってる場合じゃないからな まずは調停を成功させる 話はそれからだ」


「はい」


エミルは笑顔で頷いた

だがその直後だった


『お願いになりますが


レオン辺境伯閣下と教国との友好をより確固たるものとするため


エミル副団長にはレオン辺境伯閣下との親交を深め


“祝福の宝玉”を授かることを願います』


教皇からの親書が頭をよぎる


「…………」


気付けば 自然とレオンの横顔を見つめていた


(祝福の宝玉って……やはり あのお言葉は……)


考えれば考えるほど 頬が熱くなっていく

その時だった レオンがこちらを向いた


「どうした?」


「っ!」


エミルは肩を震わせ慌てて視線を逸らした


「い いえ!……何でもありません!」


レオンは首を傾げる


「また顔が赤いな 本当に大丈夫か?」


「だ 大丈夫です!少し馬車の中が暑いだけです!」


レオンは窓の外を見る

涼しい風が馬車の中へ吹き込んでいる


「そうか?」


「はい!」


エミルは何度も頷き

誤魔化すように窓の外へ顔を向けた


(ど どうしましょう……)


胸の鼓動が止まらない


ドクン


ドクン


ドクン


(こんなに近くに座っていたら……この鼓動がレオン君に聞こえてしまうのでは……)


そう思った瞬間 さらに鼓動が速くなる

エミルはそっと胸元へ手を添えた


(落ち着いてください……私は教国聖騎士団副団長です こんなことで動揺してはいけません……)


何度も心の中で言い聞かせる

だが 鼓動は少しも収まらなかった

一方のレオンは そんなエミルの様子を見て


(やっぱり疲れてるのかな)


それくらいにしか思っていなかった

やがて御者が外から声を掛ける


「レオン辺境伯様 前方に宿場町が見えてまいりました」


レオンは窓から前を見る

街道の先には石造りの建物が並び

多くの旅人や商人が行き交っていた


「思ったより大きい町だな」


「はい」


エミルも気持ちを切り替え

宿場町へ視線を向ける

馬車はゆっくりと速度を落とし宿場町の中へ入っていった


帝国まで十二日

その長い旅はまだ始まったばかりだった

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