第247話 留守を任せる者
レオンとエミルはそのまま執務室を出ようと扉を開けた
そこにはゼムとクロエが待っていた
座り込んでいたクロエは二人を見るなり立ち上がる
「終わった?」
「ああ」
レオンは頷いた
「話はまとまった」
ゼムが静かに尋ねる
「それでぼっちゃま 教国からは何と書かれていたのでしょうか」
「ノルディアと帝国の和平条約の調停人のセリオスさんの代理はエミルがする事になったみたいだ」
クロエは嬉しそうに笑う
「エミルさんだったんだね」
「ああ これから帝都に向かう準備をしないといけない」
レオンは続ける
「教国からはエミルが代表として同行する」
レオンはゼムを見る
「帝国へは俺とエミルで向かう その間 邸を頼めるか?」
ゼムは迷うことなく頷く
「もちろんです ぼっちゃまが安心して帝国へ向かえるよう この邸は私がお守りいたします」
「頼んだ」
レオンは今度はクロエへ視線を向けた
「クロエ 悪いけど領地運営を頼む 帝国へ行ってる間も仕事は止められないからな」
クロエは少しだけ頬を膨らませる
「ボクも一緒に行きたかったな 帝国にも行ってみたかったし」
レオンは苦笑した
「今回は商談じゃない 調停だからな それに帝国へ行けば行きだけで十二日、往復なら二十四日以上は留守になる その間 ノルディアを任せられるのはクロエしかいない」
クロエは少し照れたように笑う
「そこまで言われると断れないよ……任せて 帰ってくる頃には仕事を全部終わらせておくから」
「ああ 頼りにしてる」
その一言にクロエは嬉しそうに笑みを浮かべた
ゼムも静かに口を開く
「食料の備蓄も問題ございません 騎士団も通常通り警戒を続けます 何かございましたら伝書鳥にて直ちにご報告いたします」
「分かった」
レオンは全員を見渡した
「出発まではまだ少し時間がある その間に準備を済ませよう」
「はい」
エミルが頷く
「分かりました」
クロエとゼムも頷いた
こうしてノルディアに残る者 帝国へ向かう者
それぞれの役目が決まり
ノルディアと帝国 両国の未来を左右する調停式へ向け
着々と準備が進み始めるのだった




