第244話 半年の成果
午後のノルディア邸の執務室にレオンは執務机へ腰を下ろしていた
正面にはクロエ 隣にはゼムが立っている
机の上には厚く綴じられた帳簿が置かれていた
クロエは帳簿へ手を添える
「それじゃあ決算報告を始めるね」
「ああ」
レオンは静かに頷いた
クロエは最初のページを開く
「まず前回の決算だけど……去年の夏の時点で所持金は金貨一万百四十二枚だった」
レオンもその数字は覚えていた
それから約半年 ノルディアでは様々な事業が軌道に乗った
ボア肉事業
回復薬事業や魔力草の販売
保温箱の技術料
教国との交易
冬限定の氷事業
宿場町の税収
など どれも以前のノルディアでは考えられない成果を上げている
クロエは次のページをめくる
「この半年間の利益は金貨六千十四枚 そして現在の所持金は……」
クロエは最後のページを見て笑顔になった
「金貨一万六千百五十六枚!」
執務室に静かな空気が流れる
半年で金貨六千十四枚
以前のノルディアからすれば 数十年かかっても辿り着けない数字だった
レオンは静かに頷く
「順調だな」
「うん」
クロエも嬉しそうに頷いた
「でもね」
そう言うとクロエは帳簿を閉じ 今度は一枚の地図を机へ広げる
そこにはノルディア領全体が描かれていた
「これからは今までみたいな勢いでは所持金は増えないと思う」
レオンは地図へ目を向ける
「使われなくなった砦か」
「そう 砦の修復 城壁の増強 街道の整備 騎士団の装備更新 宿場町の拡張 これからは領地へ使うお金が一気に増えるからね 利益が出てもその分投資していくことになるよ」
レオンは静かに頷いた
「辺境だからな 守りも発展もどっちも必要だ」
ゼムも穏やかに微笑む
「ぼっちゃまの事業が順調だからこそ出来る投資でございます 以前のノルディアでは考えられなかったことでしょう」
クロエは笑顔を浮かべる
「でも今の事業は全部順調だから これからも少しずつ所持金は増えていくと思う 領地へ投資しながらでもちゃんと増えていくから安心して」
レオンは静かに頷いた
「ああ」
帳簿へ視線を落とす
金貨一万六千百五十六枚
だが 領地への投資はこれからさらに増える
それでも構わない
レオンは心の中で小さく呟く
(あと少し……)
その瞳には 揺るぎない決意が宿っていた




