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乙女ゲーの辺境伯に転生したので奴隷落ちする悪役令嬢を金貨2万枚で救おうと思います  作者: トンビが鷹を産んだトンビの方
帝国の頭脳と和平条約
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第235話 2人の王族の街歩き

レオン達三人はノルディア邸を後にした

冬の澄んだ空気が街を包んでいる

白い息を吐きながら人々が石畳を行き交い

露店からは威勢の良い呼び込みが響く

湯気の立つ料理の香りが寒さの中で食欲を誘っていた

宿場町は今日も多くの人で賑わっている

ジークハルトは露店通りをゆっくりと見渡した


「宿へ向かう時にも思いましたが この街は人の流れが絶えませんね 宿場町として理想的です」


レオンは頷く


「教国やフェルナード領との取引が始まってからですね 以前より商人や冒険者が増えました」


ジークハルトは行き交う人々や荷車へ目を向ける


「商人が集まれば人も集まる 人が集まればさらに商人が集まる 良い循環が出来ていますね」


レオンは苦笑した


「流石 帝国の頭脳ですね 少し見ただけでそこまで分かるんですか?」


ジークハルトは穏やかに微笑む


「街を見るのは好きなんです 数字だけでは見えないものもありますから」


アレクはそんな二人を見て微笑んだ


「お二人とも 街を歩いても仕事のお話になるんだな」


レオンは少し照れたように笑う


「つい癖で」


ジークハルトも小さく笑った


「職業病ですね」


アレクは頷く


「ですが今日は視察ではありません せっかくですから街歩きも楽しみましょう」


「そうですね」


三人は露店通りを歩いていく


「あっ!レオン様だ!」


露店の店主が真っ先に気付いた

レオンは笑顔で手を上げる


「久しぶりだな」


その声を聞いた周囲の人々も振り返る


「レオン様!今日はお出掛けですか?」


レオンは笑って頷く


「ああ 二人に街を案内してるんだ」


領民達はアレクとジークハルトを見る


「お客様ですか?」


「ああ 大事なお客様だ」


店主は二人へ笑顔で頭を下げた


「ようこそノルディアへ!」


アレクとジークハルトも軽く会釈を返す

レオンは店主へ視線を戻した


「最近はどうだ?」


店主は豪快に笑う


「忙しいですよ! 毎日仕込みが追い付かねぇくらいです!」


「それは良かった 無理だけはするなよ」


「はい!」


「レオン様も風邪ひかないで下さい!」


「ありがとう そっちもな」


そのやり取りに周囲の領民達も笑顔になる


「レオン様!今度また店に来てくれよ!」


「ああ 今度寄るよ」


「約束ですよ!」


「分かってる」


レオンが笑って答えると

領民達は満足そうに手を振った

三人は再び歩き始める

アレクはレオンへ視線を向ける


「レオン殿は領民に好かれているな」


レオンは少し照れくさそうに笑った


「皆いい人達なんですよ」


アレクは静かに首を横へ振る


「それだけではない 領民があれだけ自然に笑いかけるのは 信頼しているからだ レオン殿が領民と向き合ってきた証だろう」


レオンは照れ笑いを浮かべる


「そう言われると照れますね」


その時 アレクが一軒の露店の前で足を止めた

炭火の上ではボア肉の串焼きが香ばしい音を立てながら焼かれている

レオンはその様子に気付き小さく笑う


「アレク殿下……もしかしてこちらが目的ですか?」


アレクも笑みを浮かべる


「ああ 実は今回ノルディアへ来た理由がもう一つある……これは完全に私的な理由だ」


レオンとジークハルトは顔を見合わせた

アレクは串焼きを見つめながら静かに口を開く


「ボア肉の串焼きを食べに来た」


レオンは思わず笑う


「王都でも評判ですからね 一度食べてみたかったんですか?」


アレクは少しだけ遠くを見るように目を細めた


「それもある だが 本当の理由は別にある……この香りを嗅ぐと昔のことを思い出すんだ」


アレクは炭火で焼かれる串焼きを見つめながら小さく笑った


「まだ幼かった頃の話だ」


その横顔はどこか懐かしそうで

少しだけ寂しそうだった

レオンとジークハルトは何も言わない

静かにその続きを待つ

アレクはゆっくりと目を閉じた

そして遠い日の記憶を思い返す

七年前のある日

王都では年に一度の祭りが開かれていた

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