第228話 再戦
ルーカスとレックスは互いに礼を交わし 中央から下がった
二人を見届けたゼムが静かに口を開く
「次の試合を行う方はいらっしゃいますでしょうか?」
その時だった
「ガレス団長」
穏やかな声が訓練場へ響く
全員の視線がエミルへ集まる
エミルはガレスへ向き直り 一礼した
「もう一度 お相手をお願いできますでしょうか」
ガレスは少し目を丸くした後 口元を緩めた
「これは珍しいですな エミル殿から再戦を申し込まれるとは」
エミルは少し申し訳なさそうに微笑む
「前回は私の確認不足でした あの時は試合形式を確認しておりませんでしたので 私は教国式のつもりで戦っておりました」
レオンは前回の模擬戦を思い出す
エミルは一撃を軽く入れた瞬間 自ら剣を下ろした
だがノルディア騎士団達は困惑していた
『まだ終わってないのになんでだ?』
そんな空気が訓練場を包んでいた
その場の空気を察したガレスは笑いながら
『いやー参りました』
そう言って自ら負けを認め 試合を終わらせたのだった
エミルは再び頭を下げる
「あの時は失礼いたしました ガレス団長にもご迷惑をお掛けしました」
ガレスは穏やかに首を横へ振る
「気になさる必要はありません 私も試合形式を確認しておりませんでした 互いの確認不足です」
エミルは小さく頷いた
「ありがとうございます ですので今回は正式にお願いしたいのです……王国式で」
ガレスは笑みを浮かべる
「承知しました では今回は王国式でお相手いたしましょう」
二人は訓練場の中央へ歩み出る
ゼムが二人を見る
「試合形式は王国式でよろしいですね」
「はい」
「ええ」
二人が同時に頷く
ゼムは並べられた刃を潰した剣を二本手に取った
「それでは王国式の試合形式を説明いたします 王国式では魔法の使用は禁止 使用する武器は刃を潰した剣 勝敗は致命傷となる一撃を受けた時 または戦闘続行が不可能と判断された時点で決します」
エミルは静かに頷く
「承知しました」
ガレスは刃を潰した剣を肩へ担ぎ 笑みを浮かべた
「前回とは違いますな 今度こそ本当の勝負です」
エミルも剣を構えた
「よろしくお願いいたします」
二人はゆっくりと距離を取る
訓練場を静寂が包む
ゼムは二人を見渡し 静かに右手を上げた
「それでは――始め」




