第227話 教国式
澄んだ金属音が訓練場へ響く
「それでは教国式のルールを確認いたします 使用できる魔法は無属性魔法のみ 属性魔法は禁止 武器は実剣 そして一撃でも命中した時点又は勝敗が決した時点で試合終了となります」
エミルが更に補足する
「教国では一撃を受けた時点で致命傷になり得ると考えます そのため模擬戦も一撃で終了します」
レックスは実剣を構えた
「それでは……始めてください」
その瞬間 ルーカスとレックスが同時に地を蹴った
ガンッ!!と響く
実剣同士が激しくぶつかり合う
一撃後にすぐに距離を取る
教国式では一撃でも命中すれば試合終了
互いに不用意な踏み込みはできない
レックスは剣を正眼に構えたまま静かにルーカスを見据える
対するルーカスも笑みを消し 一切の隙を見せない
レオンは小さく息を吐いた
「何時ものルーカスとは空気が違う……」
ガレスも腕を組む
「ええ 一撃で終わる試合ですので 無駄な攻めは命取りです」
再び両者が動き
ガンッ!!ガキンッ!!
と鋭い斬撃が何度も交差する
しかし互いの剣は相手の剣を捉えるだけで身体には届かない
レックスが一歩踏み込み袈裟斬りを放つ
ルーカスは最小限の動きで受け流し そのまま横薙ぎを放った
だがそれをレックスは身体を捻って躱した
二人の距離が再び開く
リックが感心したように笑う
「二人とも全然攻め急がないッスね」
エミルは静かに頷いた
「教国ではそれが基本です 一撃を焦った者から負けます」
ルーカスは小さく笑う
「なるほど……エミルが言ってた意味が分かった」
そう呟くと剣先を僅かに下げた
レックスはその僅かな変化を見逃さない
一気に踏み込む
速い
誰もがそう思った
だが ルーカスの口元が僅かに緩む
「掛かった」
レックスの瞳が開く
下げた剣先は誘いだった
ルーカスは半歩だけ身体を開きレックスの剣が空を切る
その瞬間 ルーカスの実剣が滑るようにレックスの喉元へ伸びた
ピタリと刃先が喉元で止まる
静寂が訓練場を包んだ
エミルが静かに口を開く
「そこまでです」
ルーカスはすぐに剣を下ろした
「ありがとうございました」
レックスも剣を納める
「完敗です……最後の誘いは見事でした」
ルーカスは苦笑する
「いや 教国式だから使えた手だ 帝国式なら魔法を警戒してもっと距離を取ってた 王国式ならもっと攻め合いになっていただろう」
ジークハルトは静かに頷く
「同じ二人でも試合形式が変われば戦い方も変わる これが試合形式の違いか……」
レオンも納得したように頷いた
「確かに 全然違う戦いでした」
ゼムは二人へ一礼する
「ありがとうございました では次の試合形式へ参りましょう」




