第221話 新たな和平条約
ノルディア邸 会議室の重厚な扉が静かに閉まる
部屋の中央には大きな円卓には
王国第一王子 アレク・エルグランド
近衛騎士団団長 レックス
帝国第一皇子 ジークハルト・ヴァルハイト
帝国第二皇子 ルーカス・ヴァルハイト
教国聖騎士団副団長 エミル
ノルディア辺境伯 レオン
それぞれが席に着いた
静寂が部屋を包む
最初に口を開いたのはジークハルトだった
「本日はお時間をいただきありがとうございます まずはこの場を設けてくださったレオン辺境伯へ感謝申し上げます」
レオンは軽く頭を下げる
「ありがとうございます 皆様のお役に立てましたら幸いです」
ジークハルトは静かに頷いた
「今回 私がノルディア領を訪れた理由は二つあります 一つは前から親交がありました弟 ルーカスからの辺境伯就任祝い」
隣に座るルーカスは黙って聞いている
「そしてもう一つ」
会議室の空気が引き締まった
「ノルディアと帝国との和平条約を更新する為です」
その言葉にアレクは静かにジークハルトを見つめる
レックスも真剣な表情で耳を傾けた
ジークハルトは落ち着いた口調で続ける
「現在 ノルディアと帝国の間で結ばれている和平条約は 先代ノルディア辺境伯 グラニウス殿と帝国との間で結ばれた条約です」
誰も口を開かない
ジークハルトの言葉だけが静かな会議室へ響く
「しかし現在 ノルディアを統治しているのはレオン辺境伯です つまり 条約の当事者は既に代替わりしております」
ジークハルトは一度言葉を切る
「このままでは 王国 帝国 どちらかが条約は既に失効していると主張すれば 和平条約を反故にすることも可能な状態です」
その説明にレオンは小さく頷いた
確かにその通りだった
グラニウスと交わした約束はグラニウスが亡くなった今 法的な解釈次第では無効を主張することもできる
ジークハルトは穏やかな表情のまま続ける
「もちろん 帝国にその意思はありません……ですが 国と国との約束は善意だけで成り立つものではありません だからこそ次の世代である我々が改めて和平条約を結び直す必要があると判断しました」
静かな沈黙が流れる
その沈黙を破ったのはアレクだった
「私も異論はありません 王国としても現在の状況は認識しておりま新たな条約を結び直すことは必要でしょう」
ジークハルトはゆっくりと頷いた
「ありがとうございます では本題に入りましょう……新たな和平条約について皆様のご意見を伺いたいと思います」
歴史に残る三国会談はこうして本格的に幕を開けた




