第219話 王子の使命
ノルディア邸に到着したアレク達は客間に案内されていた
メイドが頭を下げ レックスは静かに扉を閉めた
部屋にはアレクとレックスだけになる
その瞬間だった
アレクは大きく息を吐いた
「はぁ……やっと終わった」
先程までの穏やかな王子としての口調は消えていた
レックスは苦笑する
「お疲れ様でした 殿下」
アレクはソファへ腰を下ろしながら肩を回した
「レックス 二人きりなんだ そんな堅苦しい話し方じゃなくていいぞ」
レックスは首を横に振る
「いえ 私は近衛騎士団団長ですので これが普通です」
アレクは小さく笑った
「相変わらず真面目だな……だから安心して背中を任せられるんだけどさ」
レックスは静かに一礼する
「ありがとうございます」
少しの沈黙が流れた
やがてアレクは真面目な表情になる
「それで実際に会ってどうだった?レオン辺境伯は」
レックスは少し考えてから口を開く
「噂以上のお方かと……今年十六歳とは思えぬ落ち着きでした 受け答えにも無駄がなく 辺境伯としての風格も十分に感じられました 騎士団や使用人からの信頼も厚く 皆 自然とレオン辺境伯を中心に動いておりました」
アレクは静かに頷く
「だよな……俺も同じ感想だ 少なくとも今日会った限りじゃ 問題のある人物には見えなかった」
レックスは静かに尋ねた
「殿下は まだお疑いなのですか?」
アレクは窓の外へ視線を向ける
「当然だ 俺は遊びに来たわけじゃない 父上から命を受けて来てる 帝国第一皇子がノルディアへ来ている その状況を確認し 万が一 王国へ害を及ぼすようなことがあれば……辺境伯位を剝奪し 必要なら俺が自ら処罰する」
レックスは静かに頷いた
「その為に私も同行しております」
アレクは腕を組む
「けど 今日見た限りじゃ そんな心配はなさそうだ……だからこそ 明日の会談で全て見極める」
レックスは力強く答えた
「承知しております」
アレクは立ち上がり 窓の外を見つめる
「王国 帝国 教国 三カ国の未来を左右する会談だ 私情は挟まない 全ては王国のためだ」
夕日に照らされた客室には翌日に控えた三国会談を前に静かな緊張が漂っていた




