第217話 王子の来訪
ノルディア邸
レオンたちは応接室でアレク王子たちの到着を待っていた
コンコンと静かなノックが響く
「ぼっちゃま アレク王子殿下がお見えになりました」
ゼムの報告にレオンは立ち上がる
「それじゃあ行こうか」
レオンを先頭にガレス ゼム エミル フローラが後に続く
一行は邸の正門へ向かった
正門ではノルディア騎士団が整列し 到着を待っている
やがて一台の豪華な馬車がゆっくりと門の前で止まった
御者が扉を開き 最初に降りてきたのは金髪に青い瞳を持つ少年 王国第一王子 アレクだった
続いて大柄な男が降りる
赤髪に黒い瞳
鍛え上げられた体躯
腰には一本の大剣
王国近衛騎士団 団長 レックスだった
レオンは一歩前へ出て一礼する
「ようこそお越しくださいました アレク王子殿下」
アレクも穏やかに微笑んだ
「久しぶりだな レオン辺境伯 急な歓迎 感謝する」
レオンも微笑む
「遠路よりお越しいただきありがとうございます」
レックスが深く頭を下げる
「初めまして 王国近衛騎士団団長 レックスと申します」
レオンは軽く頷いた
「レオン・ノルディアだ よろしく頼む それと以前 ガレスから頼んでいた"怪しい商人"の捜索 動いてくれてありがとう」
レックスは申し訳なさそうに頭を下げる
「お役に立てず申し訳ございません 近衛騎士団でも捜索いたしましたが 発見には至りませんでした」
レオンは首を横に振る
「気にするな 動いてくれただけで十分だ」
レックスは再び一礼した
「そのお言葉 恐縮でございます」
レオンは邸へ手を向ける
「どうぞ中へお入りください」
「ありがとう」
一行は応接室へ移動した
席へ着くと レオンはアレクへ向き直る
「ご紹介いたします こちらはノルディア騎士団団長 ガレスです」
ガレスが一歩前へ出る
「ノルディア騎士団 団長のガレスです」
レックスは笑みを浮かべた
「久しぶりだな ガレス 元気そうで何よりだ」
ガレスも笑みを返す
「ああ お前も変わらないな」
レオンは続ける
「こちらは執事のゼムです」
ゼムは優雅に一礼した
「ゼムと申します 以後お見知りおきを」
レオンはエミルへ視線を向ける
「こちらは教国聖騎士団副団長 エミルさんです」
エミルは胸へ手を当て一礼する
「教国聖騎士団副団長 エミルと申します」
アレクは穏やかに頷いた
「もちろん存じている 教国最年少の枢機卿 セリオス卿の剣 "白銀の聖剣"だな」
エミルは静かに頷く
「そのように呼ばれております」
アレクは感心したように笑う
「噂は聞いていた こうして直接お会いできて光栄だ」
最後にレオンはフローラへ視線を向けた
「こちらはフェルナード伯爵家のフローラさんです」
フローラは綺麗に一礼する
「フェルナード伯爵家の娘 フローラでございます 最近 より魔法のご教授でノルディアにお世話になっております」
アレクは少し首を傾げた
「レオン辺境伯に魔法を?」
フローラは微笑む
「はい 私は水属性ですので レオン様に氷属性のご教授いただいております」
「なるほど」
アレクは納得したように頷いた
一通り紹介を終えると レオンは微笑む
「どうぞ ごゆっくりお寛ぎください」
その時だった
アレクが思い出したように口を開く
「そういえば レオン辺境伯……帝国の皇子方はどちらにおられるか?」
その質問に場の雰囲気が凍りついた
だがレオンは静かに答える
「ジークハルト殿下のご判断で 現在 宿へご滞在いただいております」
「王国 帝国 教国 三カ国の要人が一つの邸へ集まるのは 外聞が良くないとの配慮の事でした」
アレクは感心したように頷いた
「なるほど……確かに賢明な判断だ」
レオンも頷く
「会談は明日の予定でございます 本日はどうぞごゆっくりお過ごしください」
アレクは穏やかに微笑んだ
「ああ 明日の会談を楽しみにしている」
「ありがとうございます」
レオンは一礼する
その後 アレクとレックスは用意された客室へ案内された
応接室に静寂が戻る
レオンは小さく息を吐いた
「何事もなく終わったな」
ガレスは腕を組む
「本番は明日ですね」
ゼムも静かに頷いた
「帝国 教国 王国 三カ国の要人が一堂に会する機会など滅多にございません 間違いなく歴史に残る一日となるでしょう」
レオンは静かに窓の外を見つめる
明日 行われる三国会談
それは王国 帝国 教国
三カ国の未来を左右する一日となるのだった




