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乙女ゲーの辺境伯に転生したので奴隷落ちする悪役令嬢を金貨2万枚で救おうと思います  作者: トンビが鷹を産んだトンビの方
帝国の頭脳と和平条約
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第215話 王国からの密書

帝国製武具についての話が一段落した頃だった

コンコンと執務室の扉が叩かれる


「入れ」


レオンが答えると

一人の騎士が入室してきた

その表情はどこか緊張していた


「失礼いたします レオン王都より使者が参りました 辺境伯閣下宛ての密書を預かっております」


「密書?」


レオンは僅かに眉を動かした

騎士は一通の封筒を差し出す

王家の紋章が刻まれた封蝋

間違いなく国王からだった


「ご苦労」


レオンは封筒を受け取り

静かに封を切る

羊皮紙へ目を通す

そこに書かれていた内容を読み終えると

ゆっくりと羊皮紙を畳み

懐へしまった


「下がっていい」


「はっ」


騎士は一礼すると執務室を後にした

扉が閉まり部屋には静寂が訪れる

ルーカスが首を傾げた


「何て書いてあったんだ?」


レオンは苦笑する


「悪い 国王陛下からの密書なんだ さすがに内容は話せない」


ルーカスは「ああ」と頷いた


「そうだな悪かったなレオン」


「気にするな」


レオンが笑うと

そのやり取りを見ていたジークハルトが静かに口を開いた


「安心してください 私も内容を聞くつもりはありません」


レオンはジークハルトへ視線を向ける

ジークハルトは少し考えるように顎へ手を添えた


「ですが 予想ならできます」


ルーカスが兄を見る


「兄貴 分かるのか?」


「恐らくですが "第一王子アレク"殿下でしょう」


その一言にレオンは思わず目を見開いた

まさに図星だった

だが密書である以上 肯定も否定もできない

レオンは苦笑する


「密書ですので……お答えできません」


ジークハルトは小さく微笑んだ


「その反応で十分です」


そして静かに続けた


「現在 ノルディアにはルーカスだけではありません 次期皇帝である私も滞在しています さらに 先日訪れた教国枢機卿セリオス・セラフィス殿 そして現在もノルディアに滞在している 聖騎士団副団長……あの『白銀の聖剣』エミル殿もいます」


クロエは小さく息を呑む

ジークハルトは穏やかな表情のまま続ける


「王国から見れば 帝国と教国の重要人物が立て続けにノルディアへ関わっていることになります 警戒するのも当然でしょう」


レオンは黙って耳を傾けていた


「そう考えれば 王国も王族自ら状況を確認したいはずです その役目を担える人物は限られます ですから 第一王子アレク殿下が来られる可能性が最も高い」


少しだけ間を置く


「そして護衛には 王国近衛騎士団 団長辺りが同行されるでしょう」


レオンは内心驚いていた

完璧に密書の内容と一致していたからだった

執務室に静寂が流れる

ルーカスが腕を組みながら呟く


「兄貴 王国の第一王子が来るなら 俺達は帝国へ戻った方がいいんじゃないか?」


その言葉にクロエも小さく頷いた


「確かに帝国の皇子が二人いるところに王国の第一王子が来るとか少し異様な状況かも」


レオンも静かに考え込む

確かにその通りだった

王国

帝国

そして教国

各国の重要人物が短期間でノルディアへ集まっている

普通では考えられない状況だった

ジークハルトは目を閉じ

静かに考え始める

帰るべきか それとも残るべきか

どちらにも利点と欠点がある

しばらく沈黙が流れた

やがて ジークハルトはゆっくりと目を開く


「難しいですね……どちらを選ぶべきか 少し整理しましょう」


ルーカスは首を傾げる


「そんなに悩むことか?」


ジークハルトは苦笑した


「立場が違いますからね 私の判断一つで王国にも帝国にも様々な受け取り方をされます だからこそ慎重にならなければなりません」


レオンは静かに頷く

ジークハルトほどの立場になれば

一つの行動が国同士の関係にまで影響する

それだけ責任が重いということだった

ジークハルトはレオンへ視線を向ける


「レオン殿 少し考えをまとめたいのでお時間をいただけますか」


レオンはすぐに頷いた


「もちろんです 急ぐ話ではありませんから」


ジークハルトは小さく微笑む


「ありがとうございます」


そう言うと再び静かに考え始めた

帰るべきかそれとも残るべきか

その答えはまだ誰にも分からなかった

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