第201話 三年前の約束
応接室には穏やかな空気が流れていた
三年ぶりの再会
帝国での出来事
ノルディアの近況
レオンとルーカスは話は尽きることがない
その時だった
ルーカスが何かを思い出したように立ち上がる
「そうだ 危うく忘れるところだった」
そう言うと後ろへ置かれていた荷物へ向かう
木箱を一つ抱えて戻ってきた
レオンは首を傾げる
「それは?」
ルーカスは笑みを浮かべる
「辺境伯就任と成人祝いだ 帝国第二皇子として そして友人として持って来た」
レオンは少し照れくさそうに笑った
「ありがとう わざわざ悪いな」
「でも……」
ルーカスは木箱を抱え直す
そして ニヤリと笑った
「まだ渡さない」
レオンは思わず苦笑する
「その顔を見ると嫌な予感しかしないな」
ルーカスは楽しそうに笑う
「三年前を思い出してな あの時みたいに戦ったら渡す」
レオンは木箱を指差した
「いや それ俺の祝いだよな?」
一瞬だけ応接室が静まり返る
次の瞬間 ルーカスが大きく笑った
「細かいことは気にするな!せっかくなら同じ流れの方が面白いだろ?」
レオンは呆れたように肩を竦める
「全く変わってないな」
「当然だ」
ルーカスは胸を張る
「それに約束どおり また剣を交えようとも手紙に書いただろ」
レオンは笑みを浮かべる
「ああ 忘れてない」
「なら決まりだ」
ルーカスは木箱をゼムへ差し出した
「ゼム 悪いけど預かっててくれ」
ゼムは恭しく受け取る
「かしこまりました」
大切そうに木箱を抱える
レオンはゆっくりと立ち上がった
ルーカスを見る
「三年前のリベンジだ」
ルーカスは嬉しそうに笑った
「ああ 望むところだ」
二人は笑い合う
その様子を見ていたクロエは苦笑した
「祝いの品を餌に模擬戦する人なんて初めて見た」
フローラも小さく笑う
「でも何だか微笑ましいですね」
ジークハルトは静かに口元を緩めた
「なるほど ルーカスがここまで楽しそうにしている理由が何となくわかった」
ルーカスは照れくさそうに頭を掻く
「昔からこうなんだ」
「昔からこうなんです」
二人の息はぴったりだった
ジークハルトは静かに立ち上がる
「私も見学させてもらおう 帝国第二皇子とノルディア辺境伯 三年ぶりの一戦を」
レオンとルーカスは同時に頷く
「ああ」
二人は並んで応接室を後にした
目指す先はノルディア邸の訓練場だった




