第192話 帝国からの手紙
三国それぞれの戦闘思想を学び始めてから二週間が過ぎた
レオンの日課も少しずつ変わっていた
朝は剣術の稽古
ガレス
エミル
ゼム
三人と日替わりで剣を交える
王国式
教国式
帝国式
それぞれ異なる戦い方を身体へ叩き込んでいた
昼は政務に追われる
領民からの陳情
騎士団の報告
クロエとの商談
保温箱事業
ボア肉事業
ポーション事業
教国やフェルナードとの貿易
以前とは比べ物にならないほど忙しいくなっていた
夜になれば訓練場へ向かう
そこではフローラが待っていた
「今日もお願いします」
「ああ」
氷魔法 水魔法 回復魔法を互いの知識を持ち寄り
新たな魔法の使い方を研究する事もあった
フローラが回復魔法や水魔法の理論を説明し
レオンが氷魔法や化学の原理などをフローラに教える
その時のレオンの発想へ
フローラが驚くことも少なくなかった
そんな日々が続いていた
以前より確実に強くなっている
レオン自身もそれを実感していた
コンコンと執務室へ静かなノックが響く
「入ってくれ」
扉が開くと入室したのはノルディア騎士団の兵士だった
兵士は片膝をつく胸に手を当て口を開いた
「失礼いたします 帝国より使者が到着しております」
レオンは書類から顔を上げた
「帝国?」
「はい 辺境伯閣下宛ての書状を預かっております」
「通してくれ」
「はっ」
兵士が退室する
しばらくして帝国兵が入室した
胸へ手を当て一礼する
「帝国より参りました 第二皇子ルーカス殿下より書状をお預かりしております」
そう言って封蝋の施された書状を差し出した
レオンは受け取り静かに封を切る
中には見慣れた筆跡が並んでいた
思わず笑みが浮かぶ
「ルーカスだな」
クロエも興味津々で覗き込む
「何て書いてあるの?」
レオンはそのまま読み上げた
――
レオンへ
二週間後にノルディアへ行く
また剣を交えよう
追記 :それと兄貴も付いてくる
止めたが言っても聞かなかった
諦めろ
ルーカス
――
読み終えた執務室は静まり返る
クロエが首を傾げた
「兄貴?」
レオンは静かに頷く
「帝国第一皇子 ジークハルト殿下だ」
ゼムの表情が引き締まる
「第一皇子自ら来られるのですか?」
「ああ そうみたいだ」
レオンは書状を静かに机へ置いた
第二皇子ルーカスだけなら
約束した再戦のためだと思えた
だが 帝国第一皇子まで来るとなれば話は別だ
ゼムは静かに口を開く
「ぼっちゃま 恐らく今回の目的は親善だけではございません」
レオンも同じ考えだった
「ああ 【帝国の頭脳】が動く以上 必ず何か裏がある」
帝国第一皇子ジークハルト
ゲームではルーカスを他国に追いやり王国と戦争を起こす張本人がこのノルディアにくる
一体何を目的としてくるのかレオンは頭を悩ませていた
その二人の皇子の来訪まであと二週間だった




