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乙女ゲーの辺境伯に転生したので奴隷落ちする悪役令嬢を金貨2万枚で救おうと思います  作者: トンビが鷹を産んだトンビの方
フェルナードの聖女と覚悟
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第182話 帰る場所

レオンとレイモンドが執務室から応接室へ戻ると

クロエとフローラは楽しそうに話していた

レイモンドは穏やかに微笑む


「お待たせいたしました」


レオンは軽く頷いた


「ああ」


話も終わり

レオンは立ち上がる


「それじゃ……そろそろ帰るよ」


レイモンドも立ち上がり

深く一礼した


「本日は本当にありがとうございました フェルナード家を代表して改めて御礼申し上げます」


レオンは苦笑する


「気にしないでくれ それより魚屋が少し気になる」


レイモンドは首を傾げた


「魚屋ですか?」


「事件で店の中も散らかっただろ?片付けも大変そうだから少し手伝ってから帰ろうと思う」


クロエは笑顔で頷く


「それがいいね」


その話を聞いていたフローラが

少し遠慮がちに口を開いた


「あの……私もご一緒してもよろしいでしょうか?」


クロエはすぐに笑顔になった


「もちろん!一緒に行こう!」


フローラも嬉しそうに微笑む


「ありがとうございます」


レオンも頷いた


「カミュさん達も喜ぶと思う」


レイモンドは優しくフローラを見る


「行ってきなさい 今日はゆっくりしてくるといい」


「はい ありがとうございますお父様」


フローラは嬉しそうに返事をした

三人はフェルナード邸を後にする





港町は以前と変わらぬ活気を取り戻していた

威勢のいい呼び込み

魚を運ぶ漁師達

潮風の香り

その中を歩き

やがてマリナ達の魚屋へ辿り着く

店先には木箱が積まれ

カミュが魚を運び

マリナが店先を掃除していた


「あれ?」


最初に気付いたのはマリナだった


「レオン君?」


カミュも振り返る


「おっ……どうしたんだ?」


レオン達の姿を見た瞬間

二人は慌てて姿勢を正した


「レオン様!」


頭を下げようとする

だがレオンは慌てて手を振る


「大丈夫ですよ……頭を上げてください」


二人は動きを止めた

レオンは穏やかに微笑む


「前のように接してください 今日は魚を買いに来た青年として来ましたので…………店の片付けを手伝いに来たんです」


カミュとマリナは顔を見合わせた


「手伝い?」


「ええ事件で店も散らかったでしょう?少しでも力になれればと思いまして」


クロエも笑顔で頷く


「僕も手伝うよ」


フローラも一歩前へ出た


「私も手伝います!」


マリナは困ったように笑う


「お客さんに手伝わせる魚屋なんて聞いたことないよ」


レオンは苦笑する頭を下げた


「お願いします」


カミュは大きく笑った


「そこまで言うなら仕方ねぇ!じゃあレオン坊!その木箱運んでくれ!」


「はい」


レオンは笑顔で頷く

こうして四人は店の片付けを始めた


「クロエちゃん!その桶お願い!」


「うん!」


「フローラ!そっち掃いてくれ!」


「あぁ分かったよ!」


クロエは目を丸くする


「え?……なんか……さっきまでと全然違うね」


レオンは木箱を抱えながら笑った


「あぁ……本性はあれなんだ さっきまでは俺達に気を遣ってたんだろうな」


クロエは納得したように笑う


「……そういうことだったんだ」


港町には久しぶりの穏やかな笑い声が響いていた

片付けは思った以上に時間が掛かった

散らばった木箱を積み直し

床を掃き

濡れた店先を洗い流す

売れ残った魚を箱へ戻す

気付けば 空は茜色に染まっていた


「ふぅー!」


カミュは大きく伸びをする


「助かった!二人じゃ明日まで掛かってたかもしれねぇ」


マリナも額の汗を拭きながら笑った


「本当にありがとうね おかげで明日からまた店を開けるよ」


レオンは木箱を地面へ下ろした


「間に合って良かったです」


その時 カミュが何かを思い付いたように笑う


「そうだ!今日は礼をさせてくれ!」


レオンは首を横へ振る


「そんなお気遣いは……」


「駄目だ駄目だ!」


カミュは豪快に笑う


「命まで助けてもらって 店まで片付けてもらったんだ これくらいさせてくれ!」


マリナも頷く


「近くの魚屋さんから魚を分けてもらったんだよ 今日はみんなでご飯にしよう!」


クロエは笑顔でレオンを見る


「せっかくだし いただこうよ」


レオンも笑った


「それじゃ……ご馳走になります」


「よし!」


カミュは嬉しそうに店を飛び出した


「ちょっと魚取ってくる!」


マリナは苦笑する


「もう……あの人ったら子供みたいなんだから」


そう言いながら店の奥へ向かう


「クロエちゃん 料理手伝ってくれる?」


クロエは笑顔で頷いた


「もちろん!料理は結構好きなんだ」


「助かるよ」


二人は笑いながら台所へ入っていく

店先にはレオンとフローラの二人が残った

フローラは夕焼けに染まる港を眺め

ぽつりと呟く


「こうしてまた……このお店へ来られるなんて思ってませんでした」


レオンは静かに笑う


「帰る場所は多い方がいいからな」


フローラは少しだけ目を潤ませ

嬉しそうに微笑んだ


「……はい」


その頃台所からは

マリナとクロエの楽しそうな笑い声が聞こえてきた

しばらくすると 魚を焼く香ばしい匂いが店中へ広がり始めた

ジュウッと油が弾ける音

鍋から立ち上る湯気

台所からはマリナとクロエの楽しそうな笑い声が聞こえてくる


「レオン君!」


店の奥からマリナが顔を出した


「ご飯できたよ!」


「今行きます」


レオン達は店の奥へ向かう

食卓には

焼き魚

魚の煮付け

魚介たっぷりのスープ

そして炊きたての白いご飯が並んでいた


「わぁ……」


クロエは目を輝かせる


「すごく美味しそう!」


マリナは嬉しそうに笑った


「いっぱい作ったからね 遠慮しないで食べな!」


五人は席へ着き食事が始まる

レオンが焼き魚を一口食べる


「やっぱり海魚は美味しい」


カミュは満足そうに笑う


「今日の朝一番に獲れた魚だからな!新鮮だぞ?」


クロエも魚を口へ運ぶ


「ん〜コレ美味しい!こんな魚初めて食べたよ!」


マリナは照れくさそうに笑う


「そう言ってもらえると嬉しいね」


その隣ではフローラが静かに箸を動かしていた

少し遠慮している様子を見てマリナが苦笑する


「フローラ そんな遠慮しなくていいよ……ほら」


焼き魚を一切れ皿へ乗せる


「ありがとうございます……」


マリナは吹き出した


「何その話し方……今日は私達の家族だけなんだから 気なんか遣わなくていいよ」


カミュも笑う


「そうそう!昔みたいに話せ!」


フローラは困ったように笑う


「でも……レオン様達が……」


レオンは優しく微笑んだ


「俺達なら気にしなくていい フローラのあの話し方も好きだからな」


クロエも笑顔で頷く


「うん!さっきみたいに話してよ」


フローラは少し照れながら頭をかいた


「……じゃあ」


少しだけ深呼吸をする

そして焼き魚をもう一口食べた


「……これ すっごくうっめー!」


その瞬間カミュは豪快に笑った


「ははは!それだ!それがフローラだ!」


マリナも嬉しそうに笑う


「おかえり……フローラ」


レオンとクロエも自然と笑みがこぼれる

フローラは照れくさそうに笑った


「やっぱり……この話し方の方が楽だわー」


食卓は温かな笑い声に包まれていた

食事は賑やかに続いた


「レオン君!その煮付けも食べてみな!」


「はい ありがとうございます」


「クロエちゃん!こっちの焼き魚も美味いよ!」


「本当?じゃあいただくね!」


クロエは一口食べると

目を輝かせた


「美味しい!」


「こっちもすごく美味しいよ!」


マリナは嬉しそうに笑う


「いっぱいあるから 遠慮しないで食べな!」


その隣ではフローラも夢中になって魚を頬張っていた


「これ久しぶりだなー!この魚は脂が乗ってるから焼くのが一番なんだよねー!」


言い終えた瞬間フローラはハッとした


「あっ……」


レオンとクロエを見る


「ご、ごめん……」


レオンは笑って首を横へ振った


「謝らなくていい その話し方の方がフローラらしい」


クロエも笑顔で頷く


「うん!元気なフローラの方が好きだな 僕は」


フローラは照れくさそうに笑った


「へへっなんか気を遣って話す方が疲れるんだよな」


カミュは豪快に笑う


「ははは!それでいい!それが俺達のフローラだ!」


マリナも優しく微笑んだ


「やっと昔のフローラに戻ったね」


フローラは少し照れながらも嬉しそうに笑った


「うん!」


食卓には笑い声が絶えなかった

食事も終わりに近付いた頃

カミュがお茶を飲みながら口を開く


「そうだ!今日もまた泊まっていきな!」


レオンは少し驚く


「泊まるんですか?」


「当たり前だ!」


「もう夕方だぞ!今から帰る方が大変だ!」


マリナも笑って頷く


「部屋も空いてるしね」


その言葉にフローラが首を傾げた


「……また?」


カミュは笑って頷く


「ああそうだ!」


「この前 漁に行く時もレオン君はあんたの部屋に泊まったんだよ」


「えっ!?」


フローラは目を丸くする


「レオン様が……私の部屋に?」


マリナは笑いながら頷く


「ちゃんと掃除もして布団も干していたから貸したんだよ」


その瞬間 フローラの顔が一気に真っ赤になった


「そ…そのさ……」


恐る恐るレオンを見る


「く……臭くなかったか?」


一瞬 食卓が静まり返る

レオンは思わず吹き出した


「大丈夫……いい匂いだったよ」


「えぇぇっ!?」


フローラは耳まで真っ赤になり

両手で顔を覆った


「うわぁぁぁ……!聞かなきゃ良かったぁ!」


その様子を見て

カミュとマリナそしてクロエまで堪え切れず笑い出した

港町の小さな魚屋にはいつまでも温かな笑い声が響いていた

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