表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
乙女ゲーの辺境伯に転生したので奴隷落ちする悪役令嬢を金貨2万枚で救おうと思います  作者: トンビが鷹を産んだトンビの方
フェルナードの聖女と覚悟
199/262

第178話 お願い

エドガーが倒れてから半年が過ぎた

フローラは毎日病院へ通っていた

朝起きると最初に向かうのは祖父の病室だった


「お祖父ちゃん!」


病室へ入るとエドガーは弱々しく微笑む


「今日も来てくれたんじゃな」


「うん!今日はねー昨日よりもっと上手になったよ!」


フローラは嬉しそうに両手を前へ出す

青い魔法陣が浮かび

優しい水がエドガーを包み込む

以前とは比べものにならないほど綺麗な魔法だった

半年前医師から聞いた言葉が忘れられなかった


『人の身体の半分以上は水で出来ています』


その言葉を聞いた日から

フローラは毎日水魔法を練習した

何度も失敗し 何度も魔力を使い切り

それでも諦めなかった

そして 水属性の回復魔法を使えるようになった

だが エドガーの身体は変わらない

フローラは魔力が尽きるまで魔法を流し続けた


「治って……お願い……治ってよ……」


魔法が消える

エドガーは優しく笑った


「ありがとう フローラ十分じゃよ お陰で楽になった」


フローラは首を横へ振る

時際は何も良くはなっていない

だがエドガーは孫娘の優しい気持ちそれだけで十分だった


「十分じゃない!もっと頑張る!絶対治すから!」


エドガーは困ったように笑った

その時 病院の廊下から慌ただしい声が聞こえた


「先生!荷馬車が横転しました!怪我人です!」


医師達が慌てて外へ向かう

フローラも後を追った

運び込まれた男性の腕からは血が流れていた

フローラは迷わず駆け寄る


「回復魔法!」


青い魔力手に集まり水が傷口を優しく包み込む

裂けた皮膚が少しずつ塞がっていく

男性は驚いたように腕を見る


「治ってる……ありがとう!」


周囲からも驚きの声が上がった


「この子が?回復魔法を?」


そんな出来事が何度も続いた

切り傷や擦り傷 火傷までも怪我人が運ばれて来るたびフローラは回復魔法を使った

病院ではいつしか有名になっていた


【回復魔法を使える少女】


その噂はやがてフェルナード伯爵 レイモンドの耳にも届く





数日後 病院が少し騒がしくなった


「領主様がお見えになりました!」


その声にフローラは顔を上げる

立派な服を着た一人の男性

フェルナード伯爵 レイモンドだった

病院長が頭を下げる


「こちらです……例の少女はこの子です」


レイモンドはフローラを見る

まだ幼い少女

だが その手は回復魔法を使い続けたせいで赤く荒れていた

フローラはレイモンドを見るなり勢いよく駆け寄った


「領主さま!」


服をぎゅっと掴む

涙が止まらない


「お願い!領主さまなんでしょ!?偉い人なんでしょ!?おじいちゃん助けて!わたしの魔法じゃ治らないの!……お金もないの……お願い!なんでもする!だから……助けてぇ……!」


子どもらしく声を上げて泣いた

病院は静まり返る

レイモンドは何も言わない

レイモンドは病室のエドガーを見る

そして泣き続けるフローラを見る

静かにしゃがみ込み優しく頭を撫でた


「分かりました……お祖父様の治療費は全て私が負担しましょう」


フローラは涙で濡れた顔を上げる


「……ほんと?」


レイモンドは穏やかに頷いた


「ええ」


その瞬間フローラは泣き笑いになった


「領主さま!……ありがとう!……ありがとう!」


何度も何度も頭を下げる

レイモンドは静かに続けた


「……ですが一つだけお願いがあります」


フローラは涙を拭きながら頷く


「うん!なんでもする!」


レイモンドは優しく微笑んだ


「フェルナード家の養女になっていただけませんか?」


フローラは迷わず答えた


「うん!おじいちゃんが助かるなら!なんでもする!」


レイモンドは小さく頷く


「ですが すぐにフェルナード家へ来る必要はありません……お祖父様の傍にいてあげなさい」


フローラは目を丸くする


「……え?」


「養女になれば あなたはフェルナード家の娘になります そうなれば今までのようにお祖父様やお父様お母様と自由に会うことは難しくなるでしょう……だから今のうちにお祖父様とお父様とお母様とたくさん思い出を作りなさい……後悔だけはしないように」


フローラの瞳から大粒の涙が溢れた


「うん!……領主さまありがとう!……本当にありがとう!」


そう言うとフローラは病室へ駆け込んでいった

その小さな背中を

レイモンドは静かに見守っていた

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ