第176話 家族の話
戦いが終わりフェルナード邸の応接室には
レオンとクロエそしてレイモンドの三人がいた
レイモンドは静かに頭を下げる
「レオン様この度は本当にありがとうございました レオン様が駆け付けてくださらなければ マリナ達は助かりませんでした」
レオンは首を横へ振る
「礼はいい……それより一つ聞きたい」
レイモンドは姿勢を正す
「何でしょう?」
「何故フェルナードが狙われたと思う?」
部屋に静寂が流れる
レイモンドは少し考え
ゆっくりと口を開いた
「あくまで私の予測ですが……ノルディア辺境伯家との接触が引き金になったのだと思います」
「俺との?」
「はい」
レイモンドは静かに頷く
「ノルディア辺境伯家は長年どの派閥にも属しておりませんでした……ですが もしレオン様が私の所属する革新派へ加われば 今まで様子を見ていた中立派の貴族達も革新派へ流れる可能性があります そうなれば革新派は一気に巨大勢力となるでしょう」
レオンは腕を組む
「ノルディアが入っただけでそこまで変わるのか?」
レイモンドは迷うことなく答えた
「はい 先代グラニウス様そして先々代ヴァルグ様お二人はエルグランド王国の英雄です その影響力は計り知れません ノルディア辺境伯家がどの派閥へ付くのか それだけで動く貴族は少なくないでしょう」
レオンは静かに考え込む
父と祖父の名は自分が思っていた以上に重かった
その時だった
コンコンと応接室の扉が叩かれる
「失礼いたします」
入って来たのはフローラだった
着替えを済ませ
青い髪は綺麗に整えられている
蒼い瞳は少し赤く腫れていた
部屋へ入ると
深く一礼する
「レオン様クロエ様先ほどは本当にありがとうございましたお二人が助けに来てくださらなければ……私は……カミュさんとマリナさんを失っていました」
レオンは静かに頷く
「間に合って良かった それだけだ」
クロエも優しく微笑む
「本当に無事で良かった」
フローラは小さく微笑む
だが すぐにその笑顔は消えた
「実は……」
そこまで言って言葉を止める
そして恐る恐るフローラはレイモンドへ視線を向けた
話してもよろしいでしょうか?
そう問い掛けるような視線だった
レイモンドは優しく頷く
「話しなさい 今回の誘拐の原因でもあります レオン様とクロエ様には知っていただくべきでしょう」
フローラは小さく頷いた
「……はい」
レイモンドは静かに立ち上がる
「これは家族の話です 私は席を外します」
そう言うとレオンとクロエへ一礼した
「少しの間 フローラをお願いいたします」
「ああ」
レオンが頷く
レイモンドは静かに応接室を後にした
扉が閉まり部屋には三人だけが残る
静かな時間が流れる
フローラはゆっくりと息を吸った
そして真っ直ぐ二人を見つめる
「レオン様クロエ様 実は……私はフェルナード家の実子ではありません」
その一言に応接室は静まり返った




