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乙女ゲーの辺境伯に転生したので奴隷落ちする悪役令嬢を金貨2万枚で救おうと思います  作者: トンビが鷹を産んだトンビの方
フェルナードの聖女と覚悟
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第175話 帰路

穏やかな空気が戻った頃

レイモンドは騎士達へ視線を向けた


「現場の確認をお願いします 倉庫の周辺も含めて徹底的に調べてください」


「はっ!」


騎士達は一斉に散っていく

崩れた倉庫

焼け焦げた地面

巨大な氷壁の残骸

誰が見ても激戦だったことは明らかだった

レイモンドは焼け跡を見つめながら小さく息を吐く


「これほどの炎魔法……一体何者だったのでしょうか」


レオンも黒マントが去った森を見つめる


「分からない……でもまた現れる気がする」


短い言葉だった

だがその表情に迷いはない

レイモンドも静かに頷く


「ええ 私も同感です 今後はフェルナード領の警備を強化いたします」


その時一人の騎士が駆け寄ってきた


「伯爵様!周囲を捜索しましたが賊の姿はありません!足跡も途中で途切れております!」


レイモンドは悔しそうに拳を握る


「そうですか……逃げられましたか」


レオンは静かに口を開く


「深追いはやめよう 今はマリナさん達を安全な場所へ連れて帰る方が先だ」


「……そうですね」


レイモンドも同意した

マリナは申し訳なさそうに俯く


「皆さんにこんなに迷惑を掛けてしまって……」


レオンは優しく首を横へ振る


「無事だったんです それだけで十分ですよ」


カミュも深く頭を下げた


「本当にありがとう 命の恩は必ず返す」


レオンは苦笑する


「そんなに気を遣わないでください また美味しい魚をご馳走してください」


その言葉にカミュは思わず笑った


「もちろんだ 今度は前以上の魚を食べさせてやる」


「約束ですよ」


レオンも笑顔で答える

その様子を見ていたフローラはどこか嬉しそうに微笑んだ

レイモンドは騎士達へ声を掛ける


「馬車を用意してください 皆さんを邸までお送りします」


「承知しました!」


しばらくして馬車が到着する

レオン達は倉庫を後にした

夕暮れの森を抜けフェルナード邸への帰路につく

誰も気付いていなかった

木々のさらに奥

陽の当たらない場所から一人の黒い影が静かに去っていくことに

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