表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
乙女ゲーの辺境伯に転生したので奴隷落ちする悪役令嬢を金貨2万枚で救おうと思います  作者: トンビが鷹を産んだトンビの方
フェルナードの聖女と覚悟
181/291

第160話 聖女の本性

夕暮れになりフェルナード伯爵邸の廊下には夕日かま差し込んでいた

そこに 一人の少女が静かに歩いていた

肩まで流れるように伸びた艶やかな青髪

光を受けるたび まるで澄み切った湖面のように美しく輝く

透き通る蒼い瞳は穏やかで優しく

見る者の心を自然と惹きつけた

白を基調とした上品なワンピース

細く華奢な体つき

無駄のない所作

その一つ一つから伯爵令嬢として育てられた気品が溢れている

可憐さと美しさを兼ね備えたその姿は

まるで聖女を思わせるほど清らかだった

フェルナード伯爵家の一人娘


フローラ・フェルナード


今年十五歳

レオンと同い年だった

胸には一冊のノートを抱えている

父から言われた言葉を思い返していた


『レオン様の客室へ後ほど伺い 氷魔法についてご教授していただきなさい』


やがて レオンの客室へ到着する

コンコンと控えめに扉を叩いた


「レオン様 フローラです」


返事待つが返答は無い

幾ら待っても返事は返ってこなかった

フローラは恐る恐る扉へ手を掛ける

鍵は掛かっていなかった


「失礼します」


静かに扉を開ける

部屋の中には誰もいなかった

机の上には紙と本

荷物は置かれたまま

窓から吹き込む潮風がカーテンを静かに揺らしている

フローラは部屋へ入り

もう一度廊下を覗いた

右を見て左を見る

誰もいない

使用人の姿も無かった

それを確認した瞬間 穏やかな笑顔が消えた


「まだ戻ってねぇのか」


そう呟くとノートを机へ置く

そして勢いよくベッドへ飛び込んだ


「ふかぁー!」


大の字になって天井を見上げる


「疲れたぁ……」


ベッドの上で足をばたつかせる


「もう お嬢様とかやってられねーってーの!笑って お辞儀して 言葉遣いまで気を付けて……肩凝るんだっつーの!」


ごろりと寝返りを打つ


「しかも今日はレオンとか言う辺境伯との婚約を勧めろとか」


枕へ顔を埋める


「お父様は何考えてるんだっつーの!あんなやつの嫁なんか絶対嫌なんだけど」


そう呟きながら

昼間のレオンの姿を思い出す


ガチャ


静かに扉が開く音が響く

だが 枕へ顔を埋めているフローラの耳には届いていなかった


「まあ……顔はいいけど……」


枕へ顔を埋めたまま続ける


「でも男は強くなくちゃ意味ないっつーの!」


勢いよく上半身を起こした


「もう!マジでやってらんねー!!」


そう叫びながら振り向く


「…………」


扉の前には 部屋へ入ったばかりのレオンが立っていた

二人の視線が合う

時間が止まる

レオンは何も言わない

そしてレオンは静かに扉を閉めた


ガチャ


フローラは呆然と閉まった扉を見つめる


「……………………え?」


部屋には沈黙が流れた

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ