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乙女ゲーの辺境伯に転生したので奴隷落ちする悪役令嬢を金貨2万枚で救おうと思います  作者: トンビが鷹を産んだトンビの方
フェルナードの聖女と覚悟
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第156話 大繁盛

港町ポートミルの魚屋には 朝早くから人が集まり始めていた

店先には 昨日獲れた魚が木箱いっぱいに並べられている

カミュは腕を組みながら笑った


「今日は売るのも一苦労だな!」


マリナも苦笑する


「夕方までに売れれば十分だねぇ」


その時だった

クロエが店先を見回しながら口を開く


「レオン 魚捌いて」


レオンは首を傾げた


「なんでだ?」


クロエは店の前を指差す


「僕達みたいな旅人や商人ってさ 魚だけ買っても困るんだ 宿じゃ焼けないし 料理する場所もない だから店の前に机と椅子を置いてそこで食べれる様にするの レオンがその場で魚を捌いて 刺身にする そうすればその場ですぐ食べられるでしょ?きっともっと売れるよ」


マリナは目を丸くした


「なるほどねぇ……」


カミュも頷く


「確かに港でそのまま食えりゃ助かるな」


レオンは笑った


「分かった やってみよう」


カミュとマリナは急いで机と椅子を店先へ並べる

レオンは包丁を手に取った

クロエは大きく息を吸う


「さぁ!朝獲れの魚だよ!その場で捌いて すぐ食べられるよ!」


その声に旅人達が足を止めた


「その場で食べられるのか?刺身だって?」


「……珍しいな」


一人の男が席へ座る

レオンは慣れた手付きで魚を捌き始めた

包丁が軽やかに動く

無駄のない動きで身を切り分け

美しく皿へ盛り付けていく


「はい」


男は刺身を一切れ口へ運んだ

目を見開く


「美味い!」


その一言で周囲の人達が一斉に集まってきた


「俺も頼む!」


「こっちも!」


「捌いたやつは持ち帰りも出来るか?」


クロエは笑顔で次々と応える


「もちろん!持ち帰りも出来るよ!」


マリナは会計を担当し

カミュは船と店を何度も往復しながら魚を運ぶ

レオンは黙々と魚を捌き続けた

気付けば店の前には長い列が出来ていた

昼前には最後の一匹が売れた

クロエは大きく息を吐く


「終わったぁ……」


マリナは空になった木箱を見つめる


「全部売れた……」


「まだ昼になって無いのに 全部なんて初めてだよ」


カミュも驚いたように笑う


「あの量はいつもなら夕方まで残るのによ」


マリナはクロエへ視線を向ける


「クロエ君 商売の才能あるねぇ」


クロエは照れ笑いを浮かべた


「えへへ……ありがと」


マリナは少し考えるように頬をかき

笑いながら言った


「レオン君もいいけど クロエ君 あんたでもいいよ?"うちの娘婿"」


クロエは固まる


「……え?」


レオンは首を傾げた


「娘婿?」


マリナは笑いながら手を振る


「冗談だよ」


カミュは腹を抱えて笑う


「はっはっは!確かに商売は任せられそうだ!」


店先は笑い声に包まれた

しばらくして四人は店の片付けを始める

机と椅子を片付け 木箱を洗い 店先はいつもの魚屋へ戻っていった

マリナは革袋を開き 中の硬貨を数える


「こんなに売り上金額 初めてだよ……」


カミュも目を丸くする


「大漁だった魚が昼過ぎに全部無くなるなんてな」


クロエは嬉しそうに笑った


「今日は大成功だね」


だが マリナは少し表情を曇らせた


「でもね こんな日は滅多にないんだよ」


レオンは首を傾げる


「どういうことですか?」


「魚はその日の内に売り切らないと商品にならないんだよ 売れ残れば鮮度は落ちるし 値段も下がる」


カミュも腕を組む


「酷い時は泣く泣く捨てるしかねぇこともある」


レオンは並んでいた魚を思い出した

あれほど新鮮な魚でも

一日経てば価値が大きく落ちてしまう

クロエも静かに口を開く


「だから魚屋は毎日が勝負なんだよ 今日みたいに全部売れる方が珍しい」


レオンは考え込む


(もっと鮮度を保てれば……王都まで運べるかもしれない……でも氷属性の魔法使いがいない以上 氷は難しい……)


前世の知識が頭をよぎる


(保冷箱……発泡スチロールは無理だ でも 保温する仕組みなら作れないだろうか……)


レオンは静かに思案を巡らせていた

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