表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
乙女ゲーの辺境伯に転生したので奴隷落ちする悪役令嬢を金貨2万枚で救おうと思います  作者: トンビが鷹を産んだトンビの方
フェルナードの聖女と覚悟
176/269

第155話 漁師の才能

船がゆっくりと港へ戻ってくる

朝日に照らされた海は穏やかで港では既に漁師達が忙しそうに動き回っていた

岸へ船を着けるとカミュは大きく息を吐いた


「帰ってきたぞ!」


船の上には木箱がいくつも並んでいる

そのどれもが魚でいっぱいだった


「さあ!レオン坊!運ぶぞ!」


「はい」


二人は木箱を抱え

魚屋へ向かった

魚屋ではマリナとクロエが開店の準備をしていた

クロエは二人の姿を見るなり笑顔で手を振る


「お帰り!」


「どうだった?」


カミュは何も答えず

抱えていた木箱を店先へ置き蓋を開ける

中には銀色の魚がぎっしり詰まっていた

マリナは目を丸くする


「えっ……こんなに?」


「まだあるぞ!」


カミュは笑いながら船へ戻る

レオンも続いて木箱を運ぶ

二箱 三箱 四箱と次々店先へ並べられていく

クロエは思わず息を呑んだ


「すごい……本当に全部?」


「ああ!」


カミュは満面の笑みを浮かべる


「全部だ!」


その様子を見た近くの漁師達が集まってきた


「おい!カミュ!今日は大漁じゃねぇか!」


「木箱が全部埋まってるぞ!」


驚きの声が次々と上がる

その中の一人が一番大きな木箱を覗き込みれ思わず声を上げた


「おい待て!この一番でかい魚……誰が釣ったんだ?」


箱の中には一メートル近い銀色の魚が横たわっていた

周囲の漁師達も目を見開く


「でけぇ……」


「こんなの久しぶりに見たぞ」


カミュはニヤリと笑いレオンの肩を叩いた


「レオン坊だ!」


その場が一瞬静まり返る


「坊主が?嘘だろ?」


「本当にか?」


カミュは豪快に笑った


「ああ!しかも今日が初めての海だ!」


港中がどよめいた


「初めてだと?」


「そんな馬鹿な!」


「俺なんか何年も失敗したぞ!」


カミュは笑いながら話し始める


「魚が掛かっても全然慌てねぇ力任せにも引かねぇ魚が暴れるだけ暴れさせて弱ったところをきっちり寄せる 俺が教えたことをその場で全部覚えちまった……正直ここまで筋がいい奴は初めて見た!」


漁師達は信じられないという表情でレオンを見る


「本当に今日が初めてなのか?」


レオンは少し照れながら頷いた


「はい」


「船で漁をするのは今日が初めてです」


漁師達は顔を見合わせる


「参ったな……」


「才能ってやつか」


「若ぇのに大したもんだ」


感心した声があちこちから聞こえた

マリナもレオンを見つめていた


「レオン君 本当にすごいねぇ 料理も出来る 魚も綺麗に捌ける 漁も初日でこれだけ釣る 礼儀正しくて働き者」


何度も頷きながら微笑む


「本当にいい子だねぇ」


レオンは照れくさそうに笑った


「ありがとうございます」


マリナはふと優しい笑みを浮かべる


「こんな子が娘の婿だったら安心なんだけどねぇ」


「え?」


レオンは思わず聞き返す

マリナは照れ笑いを浮かべた


「あはは……独り言だよ 気にしないでおくれ」


カミュは腹を抱えて笑う


「違ぇねぇ!レオン坊みたいな婿なら大歓迎だ!」


周囲の漁師達も笑い出した


「確かにな!俺の娘にも紹介してぇくらいだ!」


「こんな婿なら毎日大漁だな!」


港は笑い声に包まれる

レオンは困ったように頭をかき

苦笑するしかなかった

その少し離れた場所で

その様子を見ていたクロエは

頬をぷくっと膨らませる


「……むぅ」


誰にも聞こえないほど小さな声だった

面白くない

そんな気持ちがその表情にそのまま表れていた

レオンはまだその視線に気付いていなかった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ