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乙女ゲーの辺境伯に転生したので奴隷落ちする悪役令嬢を金貨2万枚で救おうと思います  作者: トンビが鷹を産んだトンビの方
フェルナードの聖女と覚悟
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第149話 街道の昼休憩

フェルナード領へ向かう旅も八日目

太陽は高く昇り 街道には初夏の暖かな日差しが降り注いでいた

先頭を進んでいたリックが右手を上げる


「この先で昼休憩にする!走竜も休ませろ!」


「「はっ!」」


騎士達は一斉に返事をした

しばらく進むと街道沿いに整備された休憩所が見えてくる

大きな木々が心地よい木陰を作り

旅人や商隊が自由に休める広場になっていた

三台の竜車はゆっくりと止まり

騎士達は慣れた手付きで走竜へ水を与え始める

レオンも竜車から降り 大きく伸びをした


「気持ちいいな」


クロエも笑う


「ずっと座ってたもんね」


その時だった 少し離れた場所から慌ただしい声が聞こえてくる


「急げ!海水を入れ替えろ!このままじゃ魚が弱るぞ!」


レオン達は自然と声のする方へ視線を向けた

そこには十数台の荷馬車が並んでいる

荷台には大きな木箱

その中には海水が張られ何匹もの魚が泳いでいた

クロエは目を丸くする


「生簀だ」


リックは頷いた


「旦那 あちらはフェルナードから王都へ向かう商隊です 活きたまま魚を運んでいるんでしょう」


レオンは静かに見つめる

商人達は必死に海水を入れ替えていた

しかし 初夏の日差しで水温は少しずつ上がっている

魚達の動きもどこか鈍くなっていた

商人の一人が悔しそうに声を上げる


「駄目だ……この暑さじゃ王都まで保たねぇ」


「また値が下がるぞ」


別の商人もため息を吐く


「春までは何とかなるんだがな……夏が近付くと毎年これだ」


レオンはその様子を見つめながら小さく呟いた


「困ってるみたいだな」


その一言を聞いたリックは苦笑する


「旦那……まさか助けに行こうなんて考えてませんよね」


レオンは少しだけ視線を逸らした


「少し思っただけだ」


リックは深いため息を吐く


「やっぱりですか」


クロエは思わず笑ってしまう


「リック 分かってるね」


「もう長い付き合いですから」


リックは真面目な表情へ戻った


「旦那 お気持ちは分かります ですが相手は他領の商人です 旦那はノルディア辺境伯 領主が軽々しく他領の商人へ手を貸せば 善意でも余計な誤解を招きます それが商売のことなら尚更です フェルナード伯爵の領地で勝手に動けば 伯爵家の面子にも関わります」


レオンは静かに頷いた


「そうだな……今回は様子を見る」


リックは安心したように息を吐く


「それがいいかと」


クロエも商人達を見つめる


「フェルナードへ着いたら レイモンド様に相談できるもんね」


「ああ」


レオンは頷いた


「筋を通してからの方がいい」


そう言いながらもレオンの視線は生簀から離れなかった

水温が上がり 少しずつ弱っていく魚達

教国へ運ぶボア肉

そして目の前の活魚

問題はどちらも同じだった


「もっと冷やせれば………」


レオンは誰にも聞こえないほど小さく呟く

その一言がフェルナードで新たな技術を生み出す

最初のきっかけとなるのだった

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