第146話 出発の準備
フェルナード伯爵からの招待状が届いた翌日
ノルディア邸の執務室でレオン達はフェルナード領へ向かうための打ち合わせを行っていた
机の上にはフェルナード領までの地図
そして出発に必要な荷物の一覧が並べられている
ゼムが地図を指差した
「ぼっちゃま ノルディア領からフェルナード領までは竜車でおよそ十日でございます 途中 二度宿場町へ宿泊し 十日目にはフェルナード伯爵領へ入ります」
レオンは静かに頷く
「思ったより遠いな」
「はい 王国でも南西部に位置しますので 長旅になります」
クロエも地図を覗き込む
「でもその分 教国や魔導王国との交易が盛んなんだよね」
「ああ だから一度見ておきたい」
レオンは荷物の一覧へ視線を移した
「ボア肉は予定通り持って行く あとポーションとハイポーションもだ 実物を見てもらった方が話は早い」
「承知いたしました」
ゼムは書類を一枚取り出した
「それと ぼっちゃま この遠征に合わせまして竜車を二台追加で購入いたしました」
クロエが少し驚く
「もう買ったの?」
「ああ」
レオンは頷いた
「今回はリックを含めて護衛が十一人いる 今までの台数じゃ人を乗せる竜車が足りない 荷物だけなら問題ないんだけどな」
ゼムも頷く
「はい 今回の遠征では人員輸送用として使用いたします」
レオンは続けた
「それに 今回だけじゃない フェルナードとの取引が始まれば荷物も人も増える それに教国との交易もこれから本格的になる ポーションを運ぶ機会も増えるだろ?後から慌てて買うくらいなら 今のうちに揃えておいた方がいい」
クロエは嬉しそうに笑う
「先行投資だね」
「ああ どうせ何年も使う無駄にはならない」
ゼムは静かに一礼した
「現在の保有台数であれば 今後の交易にも十分対応できるかと思われます」
レオンは頷いた
「よし!これで輸送の心配はないな」
クロエは帳簿を抱えながら口を開く
「私は商談の資料をまとめておくね フェルナードの"専属商人さん"とも話したいことがたくさんあるし」
「頼む」
レオンは笑みを浮かべる
「今回はノルディアの未来が掛かった商談だ 必ず成功させよう」
三人は力強く頷いた
フェルナード領への出発まで
あと三日 ノルディアの新たな挑戦が静かに幕を開けようとしていた




