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乙女ゲーの辺境伯に転生したので奴隷落ちする悪役令嬢を金貨2万枚で救おうと思います  作者: トンビが鷹を産んだトンビの方
フェルナードの聖女と覚悟
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第141話 教国からの返書

王都を出発して八日

レオン達を乗せた竜車はノルディア城へ到着した


「お帰りなさいませ ぼっちゃま」


正門で待っていたゼムが深く一礼する


「ゼム ただいま」


クロエも軽く手を振る


「ただいま ゼムさん」


「お帰りなさいませ クロエ様」


三人はそのまま城の中へ入る

執務室へ入ると机の上には書類が積まれていた

レオンは思わずため息を吐く


「…………帰ってきた実感が湧くな」


「それだけお仕事が溜まっていたということです」


ゼムは淡々と答える

クロエは苦笑した


「諦めてね レオン」


「あぁ 分かってる」


レオンは椅子へ腰掛けた

するとゼムが一通の封筒を差し出す


「若様が王都へ向かわれている間に 教国より返書が届いております」


封蝋にはアルカディア教国の紋章が押されていた

レオンはすぐに封を切る

丁寧な文字が並んでいる

差出人はセリオスだった

レオンは静かに読み進める

試作した秘薬は教国でも分析を行った

結果 効能は賢者の秘薬とほぼ同等

魔力侵食症そのものを治すことはできない

だが 定期的に服用し続けることで発症を大きく抑えられる

そう記されていた

レオンは小さく息を吐く


「良かった」


クロエが隣から覗き込む


「どうだったの」


「成功だ!効能は賢者の秘薬とほぼ同じらしい それと定期的に作って飲み続ければ 魔力侵食症の進行を抑えられる………セリオスさんの分も 作り続けないとな」


クロエの表情がぱっと明るくなる


「本当によかった」


「あぁ これで少しは安心できる」


レオンは再び手紙へ目を落とした

まだ続きがある

そこには丁寧な文字で新たな報告が記されていた


一点だけ 気になったことがございました


レオンはその続きを読む


送っていただいたボア肉ですが 品質は申し分ありません

味につきましても 教国の者達から大変好評でした


そこまでは良かった

しかし 次の一文でレオンの表情が少しだけ引き締まる


ですが 教都へ届く頃には わずかではありますが鮮度が落ちておりました

味に大きな問題はございません

ですが さらに改善できる余地があるように思われます


レオンはその一文を何度も読み返した


「……少し傷んでいたのか」


クロエも真剣な表情になる


「王都までは問題なかったよね?」


「ああ 教都まで運ぶ時間が長いんだろう」


ゼムも腕を組む


「凍らせていても 長距離輸送には限界があるのでしょう」


執務室に静かな空気が流れる

レオンは椅子へ深く腰掛け 腕を組んだ

ボア肉は凍らせて運んでいる

だから王都までは品質を保てる

だが さらに遠い教国までは届かない


「もっと冷やせればな」


無意識に呟いたその一言

クロエとゼムは顔を見合わせる


「もっと……ですか」


ゼムが静かに尋ねる


「ああ 何か方法がある気がするんだけどな」


レオンはそう答えながらも

その答えはまだ見つかっていなかった

この小さな課題が

やがてフェルナード領での新たな出会いと

未来を変える技術へ繋がっていくことを

この時のレオンはまだ知らなかった

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