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乙女ゲーの辺境伯に転生したので奴隷落ちする悪役令嬢を金貨2万枚で救おうと思います  作者: トンビが鷹を産んだトンビの方
フェルナードの聖女と覚悟
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第139話 港町からの誘い

レイモンドは静かにグラスを置いた


「レオン様 実は先ほどのお話には続きがございます」


レオンは頷く


「何だ?」


「我がフェルナード領では 新鮮な魚介類が毎日水揚げされます 王国最大級の港町 ポートミルは 教国や魔導王国との交易も盛んで 我が領を代表する産業です」


レオンは興味深そうに耳を傾ける


「教国とも魔導王国とも直接取引しているんだったな」


「はい 教国からは小麦や布 魔導王国からは魔導具や魔石 そして我が領からは魚介類や塩を各地へ運んでおります」


「羨ましいな 先程も言ったが ノルディアには海がないから 港町には少し憧れる」


レイモンドは穏やかに微笑んだ


「ぜひ一度お越しくださいはきっとお気に召していただけると思います」


少し間を置き レイモンドは表情を引き締める


「ですが 長年解決できない問題がございます 魚の鮮度です」


レオンは静かに頷いた


「やっぱりそこか」


「はい 港町で食べる魚は格別です……ですが 王都へ届く頃にはどうしても鮮度が落ちてしまいます 干物や塩漬けという方法もございます ですが 私は港町で食べる味を そのまま王都へ届けたいのです」


領地を想う真っ直ぐな言葉だった

レオンは自然と笑みを浮かべる


「いい領主だな」


レイモンドは少し照れたように笑った


「ありがとうございます そこで娘も 水属性の回復魔法を活かせないか日々模索しております 魚を長持ちさせる方法を何度も試しておりますが 良い結果には至っておりません」


レオンは腕を組み少し考え込む


「回復魔法でも難しいのか」


「はい 傷や病を癒やすことと 魚の鮮度を保つことは別のようです 娘も諦めず研究しておりますが 今はまだ手探りの状態でございます」


レオンは少し考え込んだ後 ゆっくりと口を開く


「一つ思ったことがある」


「何でしょう」


「氷属性は水属性の派生なんだ もし水属性をもっと応用できれば 氷も使えるようになるかもしれない」


レイモンドは目を見開いた


「氷属性へですか? そのような考えはございませんでした」


少し考え込んだ後 真剣な表情で口を開く


「それでは 娘をノルディアへ向かわせましょうか?ご指導いただければ 何か掴めるかもしれません」


レオンは苦笑しながら首を横へ振った


「いや……俺も一度フェルナード領を見てみたい 実際に港町を見て 魚の流通も知りたいからな それに 商売の話なら商人同士の方が早いこともある うちの専属商人のクロエも一緒に連れて行く ボア肉の取引についても話ができるだろ」


レイモンドは嬉しそうに微笑んだ


「それは願ってもないことでございます ぜひフェルナード領へお越しください レオン様とクロエ殿を 心より歓迎いたします」


レオンは静かに頷いた


「日程は領地へ戻ってから調整する クロエにも予定を聞かないとな」


レイモンドは穏やかに微笑む


「承知いたしました 専属商人の方ともお会いできることを楽しみにしております きっと商人同士だからこそ見えることもあるでしょう」


「ああ クロエは商売のことになると俺より何倍も頼りになる」


レイモンドは小さく笑った


「そのような方が専属商人とは心強いですな」


「俺もそう思う ノルディアがここまで来られたのは クロエの力も大きい」


レイモンドは感心したように頷く


「領主が家臣の功績を素直に認められる それもまた優れた領主の資質でございます」


レオンは照れくさそうに頭を掻いた


「そんな大したものじゃない 事実を言っただけだ」


その言葉にレイモンドは穏やかな笑みを浮かべる


「その事実を口にできる方は意外と少ないものです」


少し沈黙が流れる

夜会ではあちらこちらで談笑が続いていた

音楽も変わり 新たな料理が運ばれてくる

レイモンドは会場を見渡してから再びレオンへ視線を向けた


「今回の取引がまとまれば ノルディアとフェルナードは互いに利益を得られるでしょう ボア肉は我が領へ 魚介類や教国 魔導王国の品はノルディアへ 互いに足りないものを補い合える関係になります」


レオンは静かに頷いた


「俺も同じことを考えていた 領地同士が競うより 足りないものを補い合った方がずっと発展できる」


レイモンドは少し驚いたように目を見開く

そして穏やかに笑った


「やはりレオン様とは話が合います 中立派革新派として 能力ある者が国を支えるべきだと私は考えております 家柄だけでは国は豊かになりません」


レオンも笑みを返す


「俺も同じ考えだ 領民が豊かになるなら 身分なんて関係ない 力のある人が活躍できる方がいい」


レイモンドは深く頷いた


「そのお考えを聞けて安心いたしました フェルナードとノルディアは 良き関係を築けそうです」


その時 夜会の終わりを告げる鐘が鳴り響いた

貴族達も少しずつ帰り支度を始める

レイモンドは一礼した


「本日は誠にありがとうございました それではまた フェルナード領でお待ちしております」


レオンも一礼を返す


「ああ 近いうちに必ず行く その時はよろしく頼む」


「お任せください」


二人は固く握手を交わした

その握手は一人の領主と一人の領主として

そしてノルディアとフェルナード

二つの領地を結ぶ最初の約束となった

夜会を後にしたレオンは静かな夜空を見上げる

フェルナード領

ポートミル港町

そしてフェルナードの聖女 フローラ

新たな出会いが すぐそこまで近づいていた

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