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乙女ゲーの辺境伯に転生したので奴隷落ちする悪役令嬢を金貨2万枚で救おうと思います  作者: トンビが鷹を産んだトンビの方
第5章 白銀の聖剣と秘薬
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第126話 街歩き

翌日の昼前

ノルディア邸の正門前でレオンは約束の時間より少し早く到着していた


「レオン様」


聞き慣れた声に振り返る

そこには私服姿のエミルが立っていた

普段の聖騎士団の制服ではない

白を基調とした落ち着いた服装

長い赤髪は後ろで一つにまとめられている


「お待たせしました」


「いえ 私も今来たところです」


エミルは胸を撫で下ろした


(良かった…… 遅れてはいませんね)


レオンは微笑む


「では行きましょうか」


「はい」


二人は並んで歩き始めた

最初に向かったのは市場だった

昼前ということもあり

多くの店が開き始めている


「賑やかですね」


「この時間が一番人が多いですね」


レオンは笑いながら答える

市場を歩いていると串焼きの店主が笑顔で声を掛けてきた


「レオン様!今日はデートですかい?!」


レオンは苦笑した


「違う 教国から来られているお客様をご案内してるだけだ」


「ああ!これは失礼しました!」


店主は豪快に笑う


「でもお二人ともお似合いでしたもんで!」


周囲の客も笑いながら頷いた


「確かに!」


「美男美女だ!」


「若いっていいねぇ!」


レオンは苦笑するしかない


「……勘弁してくれ」


一方 エミルは胸の前で小さく手を握った


(お似合い……)


その言葉だけが胸へ残る

自然と頬が少し熱くなる


(私と……レオン様が……?)


嬉しい

ただそれだけだった


「エミルさん?」


「い、いえ……何でもありません」


慌てて平静を装う

だが 口元は少しだけ緩んでいた

市場を歩いていると

一軒の焼き菓子店の前でレオンが足を止めた


「少し寄ってもいいですか?」


「はい」


二人は店へ入る

店内には焼きたての甘い香りが広がっていた

店主はレオンを見ると笑顔になる


「いらっしゃいませ!レオン様!」


「久しぶりだな 焼き菓子を二つ頼む」


「ありがとうございます!」


店主は手際よく焼き菓子を包みながら笑った


「レオン様は昔から焼き菓子がお好きですからね」


「あぁ 今でも好きだ」


店主は懐かしそうに目を細める


「グラニウス様がレオン様のためにって 帰りによく買って帰られてましたからね」


レオンは少しだけ目を細めた


「懐かしい子供の頃は父上が帰ってくるたび楽しみだった」


店主も嬉しそうに頷く


「グラニウス様もレオン様が喜ぶ顔を見るのがお好きでしたから」


レオンは焼き菓子を受け取り 代金を支払った


「ありがとう」


店を出ると焼き菓子を一つエミルへ差し出す


「エミルさんもどうぞ」


「ありがとうございます」


エミルは嬉しそうに受け取った

一口食べる


「美味しいです」


「そうでしょう?」


レオンは少し嬉しそうに笑った

その笑顔を見てエミルも自然と笑みを浮かべる

焼き菓子を食べ終えると

二人は再び市場を歩き始めた

しばらく歩くと雑貨屋が見えてきた


「少し見ていきますか?」


「はい」


二人は店へ入る

木彫りの置物

食器

革製品

棚には様々な商品が並んでいた

エミルは一つ一つ丁寧に見ていく

その時 レオンの視線がある棚で止まった

色とりどりのリボンが並んでいた


(そういえば……エミルさんは剣の鍛錬の時にいつも長い髪を結んでいるな)


レオンは一本のリボンを手に取る

黒を基調としたリボン

そこへエメラルドグリーンの糸で繊細な刺繍が施されていた

決して派手ではない

だが落ち着いた美しさがある

鮮やかな赤い髪にもよく似合いそうだった


(これなら……エミルさんに似合いそうだな)


レオンはそのまま会計を済ませ

そっと懐へしまった

エミルは別の商品を見ていたため

そのことには気付かなかった


「何か気になる物はありましたか?」


「いえ」


「見ているだけでも楽しいものですね」


エミルは穏やかに微笑む

その笑顔を見たレオンも笑みを返した


「では次へ行きましょうか」


「はい」


二人は雑貨屋を後にし

宿場町の公園へ向かって歩き始めた

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