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乙女ゲーの辺境伯に転生したので奴隷落ちする悪役令嬢を金貨2万枚で救おうと思います  作者: トンビが鷹を産んだトンビの方
第5章 白銀の聖剣と秘薬
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第121話 気付いた想い

ノルディア邸の客間ではエミルが窓の外を眺めていた

教国から派遣されて二ヶ月と少し

最初は監査のためだった

魔力草事業

ポーション事業

どちらも教国にとって大きな利益となる

だからこそエミルは疑っていた


『話が美味すぎますね』


そんな話が本当にあるのだろうか

それにセリオス様は人が良すぎる

騙されることも少なくない

セリオス様だから騙されているのではないか?

と思っていた

だからレオンのことも信用していなかった

共同事業の裏で何か企んでいるのではないか

そう考えていた

だが一ヶ月間レオン様を見続けて

その考えは完全に変わった

早朝は剣術の鍛錬をし

その後は執務室で仕事をし

空いた時間は魔法陣の研究

夕方になれば訓練場で騎士達と剣を振る

その後は魔法を用いての戦闘訓練

誰よりも働いていた

監査を続けるうちにレオン様への疑いは完全に晴れた

もう監視する必要もない

そう思っていた

それなのに気付けば自然と目で追っていた

領民へ向ける優しい笑顔

真剣な表情で政務へ向かう姿

騎士達と剣を振る姿

その姿を見るたび

自然と目が離せなくなる

そしてあの日の言葉を何度も思い出していた


『それに 奴隷も人は人です』


『人間の命の重さに身分は関係ないでしょ?』


『エミルさんの命も』


『大切な命です』


あの言葉は今でも胸へ残っている

思い出すたび胸が温かくなる


(どうしてでしょうか……)


監視する理由はもうない

それでも目で追ってしまう

自分でも理由が分からなかった


「私は……やはりレオン様へ恋をしているのでしょうか?」


その時だった 脳裏へ一人の男性が浮かぶ


『エミルさん!』


『俺と付き合ってください!』


以前突然告白してきたリックだった

あの時は 付き合うという意味も分からず

模擬戦のお誘いだと勘違いしてしまった

恋愛など今まで考えたこともなかったからだ

だが 今は少し分かる


「リックさんなら……何か分かるかもしれません」


エミルは小さく頷く


「聞いてみましょう」


そう呟くと静かに立ち上がり

ノルディア騎士団の訓練場へ向かって歩き出した

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