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乙女ゲーの辺境伯に転生したので奴隷落ちする悪役令嬢を金貨2万枚で救おうと思います  作者: トンビが鷹を産んだトンビの方
第5章 白銀の聖剣と秘薬
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第120話 誰が直した?

昼食を終えたレオンとクロエはノルディア邸へ戻ってきた

ノルディア邸の執務室ではレオンが机へ置いたままの魔法陣へ視線を向ける


「さて 続きを始めるか」


机へ近付き魔法陣を手に取る

その瞬間 レオンの手が止まった


「……?」


紙を見つめる

違和感があった

何度も書き直し毎日見続けた魔法陣

だからこそ分かる


「書き換わってる」


クロエも隣から覗き込む


「え?」


「どこ?」


レオンは修正された箇所を指差した


「ここだ…魔力の流れが少し変わってる」


クロエは目を細める


「ん〜……分かんない」


レオンは静かに魔力を流した

淡い光が魔法陣全体を包む

いつもなら途中で崩れる術式

だが今日は違った

最後まで光は消えない

透明な液体が瓶へ溜まっていく

レオンは完成した液体を見つめた


「成功した……」


今までで最も理想に近い出来だった

クロエは嬉しそうに笑う


「成功したじゃん!」


「ああ」


レオンも頷く


「でも」


完成した喜びよりも別の疑問が浮かぶ


「誰だ……?」


少し考えレオンはクロエへ視線を向けた


「まずクロエは無理だな」


「は?」


クロエが目を丸くする


「それ僕に喧嘩売ってる?」


レオンは真顔だった


「こんな魔法陣理解してないだろ」


「うっ……」


図星だった

そして レオンは続ける


「しかも さっきまで一緒に飯食ってたしな」


クロエは頬を膨らませる


「それだけ言えば良かったじゃん!前半いらないよ!!」


レオンは苦笑した


「悪い悪い」


クロエは腕を組み直した


「じゃあゼムさんじゃない?レオンと一緒に研究してたんでしょ?」


レオンは頷く


「その可能性はあるな……聞いてみよう」




ノルディア邸の廊下では ゼムが数人のメイドへ指示を出していた


「客間の掃除が終わりましたら食堂をお願いいたします」


「かしこまりました」


メイド達が一礼して持ち場へ向かう


「ゼム」


「ぼっちゃま」


ゼムはレオンへ一礼した


「どうかなさいましたか?」


レオンは魔法陣を見せる


「この魔法陣を修正した?」


ゼムは紙へ目を通し 静かに首を横へ振る


「いいえ 私ではございません」


「そうか……」


ゼムは少し考え 思い出したように口を開いた


「そういえば ガレス殿がぼっちゃまへ大盾の修繕費の予算報告書があると申しておりました」


「ガレスが?」


「はい ですので執務室へ向かわれた可能性があります」


レオンは頷く


「分かった 取り敢えずガレスに聞いてみるか」


ゼムは続けた


「ぼっちゃま 明日は教国との共同事業に向けた受け入れ準備がございます 教国の商人や聖職者を迎える準備や使用人への指示がございますので 申し訳ありませんがご同行は出来そうにありません」


レオンは苦笑する


「ああ こっちは気にしなくていい そっちは任せた」


「お任せください」


訓練場に行くとガレスが騎士達へ稽古を付けていた


「若様!」


木剣を下ろし敬礼する

レオンは直ぐに本題へ入る


「今日 執務室へ入ったか?」


ガレスは首を横へ振る


「いいえ 大盾の修繕費の予算報告書をお持ちしようと思っておりました…ですが討伐隊から報告が入りまして 時間が取れずリックへ届けるよう頼みました」


クロエは苦笑した


「リックがそんな魔法陣を直せる頭ある訳ないじゃん」


「………確かに」


レオンも頷く

ガレスも真剣な表情で頷いた


「私もそう思います」


クロエは満足そうに笑う


「じゃあ僕 ぬーけた! 明日から王都で価格調整しに行かなくちゃだし」


レオンは頷いた


「ああ 付き合わせて悪いな 」


「うんん いいよ別に それじゃまた後で」


クロエは軽く手を振り

訓練場を後にした

レオンは少し考える


「でも……リックなら誰かを見ているかもしれない」


ガレスも頷いた


「その可能性はございます」


レオンは一人で倉庫へ向かった




倉庫ではリックが荷物を整理していた


「旦那!ちょうど良かった!」


リックは慌てて一枚の書類を差し出した


「ガレスさんから預かってた大盾の修繕費の予算報告書です!」


レオンは受け取る


「……」


書類の端は少しくしゃくしゃになっていた

さらに端には薄く茶色い染みまで付いている

レオンは無言でリックを見る

リックは目を逸らした


「途中で昼飯食ってたら……ちょっとだけ汁が付いちゃって……」


レオンは小さくため息を吐く


「次からは気を付けろ」


「はい!」


レオンは苦笑しながら書類へ目を通した

内容に問題がないことを確認すると懐へしまう

レオンは魔法陣を見せる


「今日 執務室へ入ったか?」


リックは胸を張って答えた


「流石に執務室で昼寝なんて出来ませんよ!」


レオンは呆れたようにため息を吐く


「誰も昼寝の話はしてない」


「あ……執務室へ入ったかって意味ですか…」


リックは慌てて首を横へ振る


「入ってません!旦那が姉御と昼飯行ってたんで邪魔しちゃ悪いかなって」


レオンは頷く


「そうか」


リックは腕を組み


何かを思い出したように声を上げた


「あ!……そういえばエミルさんが旦那の所へ行くって言ってましたよ」


レオンは顔を上げる


「俺の所へ?」


「はい!少し話があるって言ってました!」


その一言で全てが繋がった

教国から派遣された副団長

セリオスの側近

魔法陣を理解出来ても不思議ではない


「……なるほどエミルさんか」


レオンは小さく笑った


「魔法陣を直してくれたお礼を言わないとな」


そう呟き客間へ向かって歩き出した

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