第112話 製造拠点
一行は孤児院の建物へ入った
シスターが先頭を歩く
「こちらになります」
案内された部屋は以前は物置として使われていた部屋だった
今では綺麗に改装され製造拠点として整えられている
エミルは部屋へ入るとゆっくりと周囲を見渡した
作業台
棚
薬草を乾燥させる場所
完成したポーションを保管する棚
どれも整理整頓されている
「綺麗ですね」
シスターは微笑んだ
「子供達も毎日掃除しております」
エミルは一つ一つ確認していく
棚の強度
窓の位置
換気
日当たり
そして保管棚の鍵
「鍵の管理はどなたが?」
レオンが答える
「シスターとゼムの二人で管理します」
ゼムも頷いた
「どちらか一人では開けられないようにしております」
エミルは感心したように微笑む
「責任の所在が明確ですね」
続いて 作業台へ視線を向ける
「製造人数は何名でしょうか」
「最初は二名です」
レオンが答える
「ラッツとリン 二人とも魔力があります」
エミルは頷いた
「最初から人数を増やさないのですね」
「ええ 品質が安定するまでは少人数で始めます 慣れてから徐々に増やしたいのですが魔力持ちとなると流石にすぐにとはいかないので……」
「魔力持ちは王国では特に貴重なのでしたね 賢明な判断です」
エミルはそう言って帳簿へ書き込んだ
次に完成品を保管する棚へ歩く
「こちらが完成品の保管場所ですね」
「はい」
クロエが答えた
「出荷の日まではここで保管するよ」
「出荷する時は?」
「運送商会が直接受け取りに来る予定」
「なるほど」
エミルはゆっくり頷く
製造から保管そして運送まで
一連の流れが整理されていた
しばらく確認を続けた後帳簿を閉じる
「製造拠点につきましても 現時点で問題ございません」
レオンはほっと息を吐いた
「ありがとうございます」
「……ですが」
エミルは続ける
「一つだけお願いがございます」
「何でしょうか?」
「完成したポーションには製造日と製造者を必ず記録してください 万が一 品質に問題があった際に原因をすぐ特定できます」
レオンはすぐに頷いた
「確かにその方が改善もしやすいですね 採用させて貰います」
エミルは静かに微笑んだ
「ありがとうございます」
ゼムは帳簿へ新たな項目を書き加える
これで製造拠点の監査も終了した
残る確認事項は運送計画と教国への使用料の運搬だけとなった




