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乙女ゲーの辺境伯に転生したので奴隷落ちする悪役令嬢を金貨2万枚で救おうと思います  作者: トンビが鷹を産んだトンビの方
第5章 白銀の聖剣と秘薬
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第107話 北の騎士団

訓練場の中央

騎士達が円を描くように下がっていく

中央へ歩み出たのは騎士団長ガレス

そして副団長エルンだった

二人は木剣を手に取る

ガレスが笑う


「エルン 一本付き合え」


エルンも笑みを浮かべた


「望むところです団長 今日は負けませんよ」


「言うようになったな」


ガレスは豪快に笑う

二人はゆっくりと距離を取る

訓練場が静まり返る

レオンが静かに口を開いた


「では始め!」


その瞬間 ガンッ!!と木剣同士が激しくぶつかる

エルンが一気に踏み込む

鋭い連撃

一撃

二撃

三撃と続くのだがガレスは一歩も引かない

全てを受け止めている


「重い……!」


エルンが思わず呟く

ガレスは笑った


「まだまだ!」


そのまま大きく木剣を振り下ろす


ブォンッ!


ガレスの凄まじい一撃がエルンに向かう

エルンは咄嗟に受け止めた


ガンッ!!


衝撃で数歩後ろへ下がった


「流石です団長」


「お前もな」


ガレスは笑みを浮かべる


「エルン腕を上げたな」


エルンも木剣を構え直した


「ありがとうございます……ですがまだ届きません」


「だったら…もっと鍛えろ!」


「はい!」


再び二人が激しくぶつかる

何度も木剣が打ち合わされる

互いの癖を知り尽くした者同士の剣

一切の無駄がない

やがてエルンが大きく踏み込んだ

その瞬間ガレスは半歩だけ身体をずらす

そして木剣を払った


カラン


エルンの木剣が宙を舞う

勝負ありだった

エルンは木剣を拾い

深く一礼する


「ありがとうございました」


ガレスも木剣を下ろした


「良い勝負だった」


訓練場から拍手が起こる

エミルは静かに頷いた


「お見事です」


「ありがとうございます」


エルンが頭を下げる

ガレスも一礼した


「恐れ入ります」


エミルは訓練場全体へ視線を向ける

木剣を振る騎士達

槍の訓練をする者

弓を引く者

誰一人として気を抜いていない


「騎士の皆さんも非常によく鍛えられています 基礎がとてもしっかりしていますね」


ガレスは静かに頷いた


「若様のお陰です 毎日の訓練内容も確認してくださいます 私達も気は抜けません」


レオンは苦笑した


「確認するだけだ 鍛えているのは皆だからな」


ガレスは首を横に振る


「違います 若様が見てくださるから 皆も手を抜きません」


周囲の騎士達も大きく頷いた


「その通りです!」


その時 リックが胸を張った


「旦那が見てたら手を抜けませんからね!」


レオンは即座に突っ込む


「お前は見てなかったらすぐ手を抜くだろ」


「なっ!」


「そんなことありませんよ!」


レオンは呆れたように笑う


「昨日も休憩って言って一時間昼寝してたのは誰だ」


リックは目を逸らした


「……エルン」


エルンは呆れたようにため息を吐く


「何で俺に振るんだ?」


「事実だろ」


周囲の騎士達が一斉に笑い出す


「ははは!」


「またサボってたのか!」


「全然隠せてねぇぞ!」


リックは頭を掻きながら苦笑した


「いやぁ……少しだけですよ?」


ガレスは腕を組み

低い声で言った


「リック!今日は追加訓練だ」


「えぇっ!?」


訓練場はさらに笑いに包まれる

その光景を見つめながら

エミルは静かに微笑んだ


(厳しいだけではない 笑顔がある だから皆さんが慕うのですね)


騎士達の強さは剣だけではなかった

その絆こそがノルディア騎士団最大の強さなのかもしれないとエミルは感じ始めていた

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