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乙女ゲーの辺境伯に転生したので奴隷落ちする悪役令嬢を金貨2万枚で救おうと思います  作者: トンビが鷹を産んだトンビの方
第5章 白銀の聖剣と秘薬
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第105話 監査の結論

エミルは教国との契約書を手に取った

一枚ずつ丁寧に目を通していく

契約内容

利益配分

管理体制

責任の所在

細かな項目まで確認していく

執務室には紙をめくる音だけが響いていた

レオンもゼムも口を挟まない

監査役の仕事を邪魔しないためだった

やがて最後の一枚を読み終えたエミルは静かに資料を閉じる


「確認が終わりました」


レオンが尋ねる


「いかがでしょうか?」


エミルは一度考え

ゆっくりと口を開いた


「現時点では問題ございません」


その一言にレオンは胸を撫で下ろした


「ありがとうございます」


「……ですが」


エミルは続ける


「これは事業開始前の監査です」


「実際に事業が始まれば 収支や品質 管理体制 全て改めて確認いたします」


「もちろんです」


レオンは迷いなく頷いた


「そのために来ていただいたのですから」


その返答を聞きエミルは少しだけ微笑んだ


「監査を歓迎される領主は初めて見ました」


レオンは苦笑する


「隠し事がありませんから……それに監査がある方が安心です 見落としていることがあれば教えていただけますし 事業が失敗して困るのは私達だけではありません 教国も 領民も 皆さんに迷惑を掛けてしまいます」


契約書からエミルの蒼い瞳をみた


「だからこそ第三者の意見は必要だと思っています」


エミルは静かにレオンを見つめた


(監査を敵ではなく味方として考えているのですね)


これまで監査へ赴いた領地では帳簿を隠されることもあった

質問を嫌がられることもあった

だがノルディアでは一度もない

むしろ積極的に資料を見せてくる


「レオン様」


「はい」


「一つだけお願いがございます」


「何でしょうか?」


「今後 何か変更点がございましたら 小さなことでも私へご相談ください 事業開始後に修正するより開始前の方が対応しやすいこともございます」


レオンは笑顔で頷いた


「ぜひお願いします 教国の考え方も教えていただけると助かります」


「承知いたしました」


エミルも静かに頷く

その時 コンコンと執務室の扉が叩かれた


「失礼します!」


元気な声が響く


クロエだった


「レオン!商会から返事が来たよ!」


クロエは一通の封筒を掲げる

レオンは立ち上がった


「もう返事が来たのか」


「うん!」


「運送商会が話し合いに応じてくれるって!」


「それは良かった」


クロエは嬉しそうに笑う


「だから明日 僕も商会へ行ってくるね!」


レオンは頷いた


「頼む」


「任せて!」


その様子を見ていたエミルは小さく息を吐く


(商売はクロエさん 領地運営はレオン様 そしてゼムさんが支える)


少しずつノルディアという領地の形が見えてきた

そして同時に自分がここへ派遣された理由も理解し始めていた


(セリオス様この領地は想像以上に面白い場所かもしれません)

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