第101話 宿場町の商人
クロエを先頭に三人は宿場町を歩いていた
「ここが市場だよ!」
朝の市場は多くの人で賑わっていた
野菜
果物
魚
肉
様々な商品が並んでいる
「レオン様!」
「おはようございます!」
店主達が笑顔で頭を下げる
レオンも軽く手を上げた
「おはよう 今日も繁盛してるな」
「はい!」
「ボア肉のお陰で人が増えました!」
「宿も毎日満室ですよ!」
「それは良かった」
エミルは周囲を見渡した
どの店にも客がいる
辺境の宿場町とは思えないほどの活気だった
クロエは嬉しそうに笑う
「前はもっと静かだったんだよ でも今は毎日こんな感じで商人さんもどんどん増えてるんだ」
その時 一人の商人が駆け寄って来た
「クロエさん!昨日お願いした契約書です!」
「ありがとう」
クロエは素早く目を通す
「うん…問題ないね レオン!これで王都への出荷を増やせるよ」
レオンは契約書を受け取り軽く確認する
「ありがとう 助かる」
「えへへ」
クロエは嬉しそうに笑った
エミルは二人を見つめる
(確認も早い……)
契約内容を一目で把握している
商人として相当な経験を積んでいるのが分かった
「クロエさん」
「はい?」
「契約は全てご自身で確認されているのですか」
「うん 最後は必ず僕が見るよ だって金貨一枚でも損したら領地が困るからね」
エミルは少し驚いた
「そこまで徹底されているのですね」
「もちろん レオンが頑張って稼いだお金だから無駄には出来ないよ」
レオンは苦笑した
「そこまで気負わなくてもいいぞ」
「駄目だよ」
クロエは真剣な表情になる
「レオンのお金じゃない ノルディアのお金なんだから」
その言葉にエミルは目を見開いた
(領地のお金……)
年若い商人の口から出るとは思えない言葉だった
その時 別の商人が手を振りながら近付いて来る
「クロエさん!例の件、まとまりました!」
「本当?」
「はい!」
「王都の商会も契約したいそうです!」
クロエは笑顔でレオンを見る
「レオン!また販路が増えたよ!」
「そうか 皆のお陰だな」
商人達は照れくさそうに笑う
「俺達だけじゃありませんよ 全部クロエさんが走り回ってくれたからです!」
「そうそう!俺達はついて行くだけで必死ですよ!」
周囲から笑いが起きる
クロエは恥ずかしそうに頬を掻いた
「もう……褒めても何も出ないよ?」
その様子を見つめながら
エミルは静かに思う
(商人達も……クロエさんを信頼しているのですね)
領民
商人
職人
ここへ来てから会う人全員が
レオンとクロエを信頼している
それは偶然ではない
少しずつエミルの中でノルディアという領地への見方が変わり始めていた




