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乙女ゲーの辺境伯に転生したので奴隷落ちする悪役令嬢を金貨2万枚で救おうと思います  作者: トンビが鷹を産んだトンビの方
第5章 白銀の聖剣と秘薬
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第92話 白銀の聖剣

5章はもう少し軽く短くと思いながら書いたのですが

4章と同じ位長くなりそうです

クラリスはいつになったら登場するのか書いてる僕でも分かりません

セレスティア教国

信仰と慈愛を掲げる四大国家の一つ

その中心に建つ教皇庁

荘厳な建物の一室

応接室には静かな空気が流れていた

窓際に一人の女性が立っている

腰まで届く艶やかな赤髪

宝石のように澄んだ蒼い瞳

雪のように白い肌

見る者の視線を奪うほど整った顔立ち

白銀の聖騎士団制服の上からでも分かる豊かな胸元

女性らしい美しさと 鍛え抜かれた騎士としての凛々しさを兼ね備えていた

その美貌は教国内でも有名だった

だが彼女に見惚れ 軽々しく声を掛ける者はいない

若くして教国聖騎士団副団長まで上り詰めた実力者

そして教国内でこう呼ばれている


【白銀の聖剣 エミル】


コンコンと扉が叩かれる


「どうぞ」


エミルが静かに答えると扉が開いた

部屋へ入って来た青年を見て エミルはすぐに片膝をついた

白髪

紅い瞳

穏やかな笑み

セレスティア教国最年少枢機卿 セリオス・セラフィス


「お帰りなさいませ セリオス様」


「ただいま戻りました」


「長旅 お疲れ様でございました」


「ありがとうございます」


セリオスは穏やかに微笑み 向かいの椅子へ腰を下ろす


「お待たせしてしまいましたね」


「いえ 監査役兼監視役としてノルディアへ向かう件でしたら 既に準備は整っております」


セリオスは頷いた


「仕事が早いですね」


「命令でしたので」


短いやり取りだった

セリオスは自然と笑みを浮かべる


「それでは現地の様子をお話しします」


エミルは静かに耳を傾けた


「ノルディアは とても良い領地でした……領民は皆笑顔で暮らしています 宿場町には活気があり 騎士団の練度も非常に高い それに孤児院の子供達も元気いっぱいでした」


楽しそうに話すセリオスはそのまま続けた


「魔力草の栽培にも成功しています ポーション事業も順調です これは教国にとっても 大きな利益になるでしょう」


話を聞き終えたエミルは 小さく息を吐いた


「失礼を承知で申し上げますセリオス様 その話は少々出来過ぎではありませんか?」


セリオスは苦笑する


「出来過ぎですか……」


「はい 十五歳の辺境伯が領地改革や魔力草事業 ポーション事業をどれも成功しています」


エミルは蒼い瞳には疑いの目しか無かった


「私は善人というものを信じておりません これだけ利益を生み出す事業です 何か裏があると考える方が自然です」


セリオスは怒らなかった

むしろ優しく笑う


「あなたらしいですね」


「申し訳ございません」


「謝る必要はありません だからこそあなたが選ばれたのですから」


エミルは真っ直ぐセリオスを見る


「私は監査役です 少しでも不審な点があれば調査いたします」


「もちろんです 遠慮なく行ってください それにレオンさんは困る方ではありません」


エミルは少しだけ眉を寄せた


「そこまで信用なさる理由があるのですか?」


「えぇ あります」


セリオスは迷うことなく答えた


「……ですが それは僕が話すことではありません 実際に会ってください……まぁ会えば分かりますよ」


エミルは静かに首を横へ振る


「私が心から善人だと思える方は セリオス様だけです ですので私は自分の目で見て判断いたします」


セリオスは微笑んだ


「ええ それで良いのです その方があなたらしいですね」


エミルは立ち上がり 一礼する


「それでは 明朝 ノルディアへ向け出発いたします」


「はい 宜しくお願いします」


セリオスは静かに部屋を後にした

扉が閉まるり応接室には再び静寂が訪れた

セリオスは廊下の窓の外へ目を向け 小さく笑った


「多分 あなたも惹かれるでしょう 僕も惹かれたのですから」


そう呟きセリオスは歩いて行った

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