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異世界帰還録  作者: 夜縹 空継
第一章:旅立ち
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第二録:異世界 四節「敵か味方か」

「さぁ貴方は何者ですか?」

覡 縁嗣(かんなぎ  よりつぐ)

「ふざけているのですか?()()()()()()()()()()()()

場がピリつくこの状況にフィリッツランド王も騎士も困惑を隠せない

「ア、アルメリア枢機卿!説明を!なぜ彼を敵視するのですか!?」

騎士が問う、乱心を疑っているのか腰の剣を握る、一触即発の空気。

「ユースティアス様、ゴルドー様、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 しかしそこの彼だけが何も見えなかった」

「…誠なのか?」

「間違いありません」

「だが彼は異邦人だ!君の対応は過剰だろう!」


魔法か…解魔の瞳(かいまのひとみ)が分解したんだろう厄介な状況になった、穏便に済ませたいが…。

「それだけではないからです彼からは悪鬼の残滓を感じます」

「あ?」

瞬間、アーセナル枢機卿を睨んだ。

夜天羅(やてんら)を悪鬼と断言した事に不快感と苛つきが抑えられず漏れてしまった

まて…あっちは俺の事情はしらない抑えろ、一度深呼吸をして心を沈める。

「…酷い言いようだな、まず俺がここにいる事自体がおかしいんだが?」

「…信仰する神がいるとでも言いたいのですか」

流石は枢機卿、話が早くて助かる俺はさらに本音を曝け出す。

「わかってるじゃないか、それに俺はさっさと俺の世界に帰してほしい」

そうさっさと帰してほしいこんな事になって正直迷惑してる。


「すまない…縁嗣よ今すぐはできぬ魔法の準備に最低でも一年は掛かる」

…まずいな、本格的に良くない状況だ。

帰るのに最低一年?この世界の状況から一年で帰れるとは思えない。

「嘘とは感心しませんね神を信じているなんて」

「おいおい敬虔な仏教徒だぜ?」

まぁ親はだいぶアレな住職だけどな、以前と警戒を緩める気はない枢機卿

メガネを外して解魔の瞳を暴露するか?…いやその前に口頭で伝えてみよう。

「…神云々はとりあえずは置いておく

 アンタの魔法が効かなかったのは俺の瞳のせいだ」

「まさか…魔眼!?いや…そんな!」

流石に動揺する枢機卿。そりゃ何の能力も持たない人を召喚したはずが

実は持ってましたとなれば驚く。


「アンタ…何言ってんの?」

「そうだよ覡君!」

刺牙(しが)と大崎が俺に問い詰めるように声をかけてくる。

「俺たちが居た世界にも少なからずそういう存在がいるっつー事だよ」

驚く二人、他のクラスメイトもザワザワと小声で話している

懐疑、興味、そんな野次馬の視線がうっとおしい。

…本当に面倒だ、だから言いたくはなかった。

「…魔法の件はそれでいいでしょうしかし悪鬼の残滓をどう説明致しますか?」

悪鬼と言われるたび夜天羅を否定されるような気分になる、最悪だ。

「…教える必要はねーだろ、俺は帰る予定だ」

「その間、貴方が問題を起こさない保証はありますか?()()()()()()()()()()

チッ…解魔の瞳の件がややこしくしてしまった

俺は今、魔法の効かない未知の敵になろうとしている。

かと言って話して信用されるか”鬼の恋人がいるんだ”それを信じてくれるか?

猜疑心に敵対心を剥き出しの枢機卿に?


少しの逡巡、しかし枢機卿は僅な逡巡をも許さない。

「答えませんか、では…」

ゆらりとどこに忍ばせていたのか短剣が2本、宙に浮かぶ

魔法が効かない相手の最善手。

「10数えます、答えなければ神の名において貴方を粛清します」

「アルメリア枢機卿!?何をしておる!」

流石の行動に焦り諌めるフィリッツランド王。

コイツ…!!本当に聖職者かよ!?

狂信者の如き行いと脅しではない明確な殺意に身構える。

クソ…やるしかねぇ!!

脚に力込めたその時─


「やめないか!アルメリア枢機卿!」

俺の前に出たのはゴルドーと呼ばれた屈強な騎士。

「これ以上力を行使するつもりならこのゴルドーが相手になる!」

ゴルドーは抜剣しアルメリア枢機卿に向けた

睨み合いが続く中、浮いている短剣は消え殺意も消え去る。

アルメリア枢機卿は足音を鳴らして

扉方へ向かう、依然とゴルドーは以前警戒し剣を向けたまま。

「……わかりました、矛を収めましょう

 ただし、なにか一つでも不穏な動きをすれば粛清いたします」

最後に俺を睨み敵意を隠しもしない出る前に王に対して一礼をし枢機卿は退室


「ふぅ…」

安堵のため息を吐き剣を納める騎士ゴルバフ彼は俺の方を向く。

「申し訳ありません、覡殿!」

バッと凄い勢いで謝罪をした、別にゴルバフが謝る必要はないとは思うが

彼は実直な人柄だろう、形だけではない誠意が籠った謝罪。

「大丈夫です、特に気にしてません

 それに俺も悪いとこはありますしあの人も国のためにした事でしょう」

「覡殿…お心遣い感謝いたします。」

顔をあげ右手を胸に置き敬意を表す、このゴルドーという騎士は

まるで騎士道を体現したかのような精神性の持ち主だ。

「縁嗣、私からも枢機卿の無礼申し訳ない」

フィリッツランド王からも謝罪を受ける。

……国王から謝罪とか俺殺されないよな?

「いえ…それよりも俺は王様達には協力はできません」


あの枢機卿のせいで流れていた件を再びフィリッツランド王に告げる。

「それは残念だ…先も申したが準備がな」

やはり根幹の問題はそれだよな…この点は文句も言いたくなる。

「…他に方法はないんですか?」

「…異界の扉というものがあるがしかしな…」

フィリッツランド王が口籠る

訳ありって感じか…だが俺は帰らないといけない、絶対に。

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