表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界帰還録  作者: 夜縹 空継
第二章:ルスティア編
67/241

第十三録:遺恨怨恨 四節「奇襲」

こちらの誰かが欠ければ終わり

ケルビムも頭部が一人でも失えば終わり。

五人による攻防が続くまさに拮抗状態…

しかしケルビムによりこの状態は崩れる。

「ナ、舐メルナヨ!…ウグァアァァァ!」

急に苦しみ出すケルビム。

右頭部の額がボコボコと不愉快な音ととも皮膚や肉が蠢く。

その間も絶え間なく攻撃を続ける。


一発、首に斧がめり込む。

深く食い込んだ刃は首を両断するに至らなかった

攻撃を警戒して斧を引き抜きケルビムの右頭部に視線を向けた。

「ハハ!瞳を増やせるのか!」

額の中心に現れた充血し焦点の合ってない血の涙を流す瞳

ギョロギョロと動き出した次には僕に攻撃を仕掛けてきた。


「ぐっ!?」

間一髪、防御が間に合う。

しかし魔法出力の上がり方が尋常ではない

魔法の発動速度が段違いに速い…まだかろうじて対応圏内。

「やるじゃないか!」

「ソノ余裕ガイツマデ続クカ!」

少し優位に立てたぐらいでこの態度

よほど人間を下に見ているらしい。

だからこの堕天使は必ず僕たちに敗北する。


とは思ったものの…

「ハハハハハ!サッキマデノ威勢ハドウシタ!」

目が増えた事のアドバンテージは大きい。

先ほどまでとは違い僕は防御に徹する

それに下卑た笑顔を向けるケルビム。

やれやれ…美しくないね。


「オ、終ワリニシテヤロウ!」

その瞬間、僕たち前衛は全員は弾かれ

不可視の魔法と地面に押しつぶされそうになる。

「うおっ!?」

「わッ!」

「ぐぅあ!」

ブランカ、ヤテンラが苦し気に声を上げる


「みなさん!このっ…キャ!」

「うわっ!」

助けようと援護をしようとしたレミリア、ネローズも抑え込まれてしまう。

あの眼はケルビムの奥の手だったんだろう

でなければこの出力はおかしい。

「ハハハハハ!!我ノ真ノ瞳ニハ

 手モ足モデナイカ!ヤハリ人間風情ガ逆ラウナド!」


「…ナンダ…ナンダァ!ソノ目ハ!!」

「おや?失敬!君が滑稽でね!」

全員が地面に貼り付けられている

絶体絶命な状況、別に狂っているわけではない。

本当に優位に立っていると思っている

この堕天使が滑稽で仕方がない。


怒りを露わにし僕に対して魔法の比重が増す。

体の骨が軋む、内臓が潰されそうな重圧

強化をしていなければ一瞬で潰されいる。

「グッ!」

…だがいくら強化しようともダメージはある

少し内臓が傷ついて口から血を出してしまう。


「ウル!ッおまえー!!」

「クッソ…動きがっ」

「このっ…わたくし達の大切な人をっ!」

僕の恋人たちが怒りを露わにして魔法に抵抗をしている。

ハハ!僕は愛されているね

「哀レダナァ!悪アガキハ…」

「そう…かな」


ボトリ…何かが落ちる音。

音源は目の前の堕天使いる場所からだ。

地面に落ちた物それは──

「…ハ?」

困惑するケルビム、無理もない事。

奴は今自分の生首を見る羽目になっている。


何が起きているか理解が及ばないが

この場は危険と判断し即座にその場から退避をする堕天使。

混乱の極みだろう、全員を魔法で捕えてあとは

殺すだけという状況から自身の首が落とされる

…ケルビムはただ忘れていただけなんだけどね


「よう、大丈夫か」

寝転ぶ僕の横に立つ、ガタイ良い男

こちらに笑顔を向けるのは無事を確信しているからだ。

美しい刀を一度空に振るい血を刀から飛ばす

そう目の前のこの男は──


「お前様!」

「夜天羅!大丈夫か?」

魔法が解けたヤテンラがヨリツグに走り寄る

なんとも美しい光景。

「ウルー!」

「今、応急処置をいたしますわ!!」

「無茶して!」

上体を起こす。

僕の元にも愛しい人達が近くに来てくれた


「それでヨリツグ、どんな魔術を使ったんだい?」

ケルビムの首を切り落とした時、彼はいきなりその場に現れた。

移動をしたわけじゃない瞬間移動のように何もない所から現れた。

「ま、詳しいことは後でなコイスケのおかげだ」

にゃんにゃ!!

ヨリツグの足元には彼の黒い飼い猫がちょこんと座っていた。


「ほんとにお前さんはなんて優秀な子なんじゃ」

夜天羅に撫でられゴロゴロと喉を鳴らし

目を細める黒猫。

「さて…いけるかウル?」

「もちろんさ!」

レミリアの応急処置も済み体を軽く動かす

多少のダメージはあるが戦闘に支障を及ぼすほどではない。


「無理はしないでくださらないでね?ウル」

「わかっているさ!ありがとう」

「でも…重要な物が手に入ったからね、僕らの勝ちさ!」

僕は地面に転がる堕天使の生首に視線を移す。

これがあればネローズの能力が使える。


それに…視線を移動させケルビムを見る

こちらを警戒し自身の落とされた左頭部を新しく再生させていた。

しかし様子がおかしい新しい頭部は目の焦点が合っていない。

ネローズが言っていたように核である魂は切り落とされた頭部にある。

だから新しく再生させた頭部はハリボテ

さぁ、幕引きの始まりだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ