第十二録:仲間 三節「紫電の男」
四日後、俺と夜天羅はウルたちと合流し依頼の場所へ向かった。
ウルが言った通り、場所が遠くギルド貸し出しの馬車を使い五日かけて目的の"忌避の森"近くの休息所に到着…キャリオンウォーカーのせいなのかわからないが休息所は俺たちのみ。
馬車は動きを止め馭者をしていたウルが荷台の方へ顔を出した。
「着いたね!ここから半日は歩かねばならないから今日はここに宿泊だ!」
「わー!つかれたあ!!」
馬車から降りたブランカは思いっきり背伸びをしそれに続くように皆が荷台から降りた。
「ウル、お疲れ様」
俺はウルに声をかけて馬車を移動させ馬の世話をしてその間に夜天羅たち女性陣はテントの設営をしてくれている。
そうして夜が過ぎた翌日。
俺たちは休息所から徒歩で目的の洞窟へ向かう、森の奥に進むにつれて不気味さが増し高い木々が日を遮り昼間だというのに辺りは薄暗い…さらに不気味なのは魔物や動物を一切現れていない事。
「ウル」
「わかっているさ…ちょっと尋常じゃないね」
「静かだね!」
このブランカの控え目な声ですら大きく聞こえるそれほどの静寂、木々以外の生命がまるでいない。
「わたくしの生命探索範囲でも魔物はいませんわ」
「わしも気配すら感じないのう…」
レミリアと夜天羅、二人の探索能力にすら引っかからない。
「…嫌なのは道の様に濃い魔力の筋が洞窟まで続いているわ」
険しい顔をするネローズ。ウル曰く彼女は魔力の流れを見るのが得意、なんでも魔力残滓を追うのは誰でもできる事じゃないらしい。
「その魔力を辿るしかないね!」
「いこー!」
率先してウルとブランカが前を歩きその後ろをネローズ、レミリアが警戒し最後尾に俺と夜天羅…この並びで歩く事1時間半。
洞窟の近くまでやってきたが俺たちは物陰に隠れて様子を窺う、なぜなら事前の情報通りの寄生された魔物いたそれも大量に。
「これは…予想より数が多いですわね」
「そりゃ道中魔物が居ないわけよ…」
「すっごいねー!」
「ハハ!圧巻だね!」
「どうする?」
「そうだね…」
魔物に悟られない様に小声で話す…見つかったら大変な事になるもし見つかったら逃げの一手だろう。
今回、依頼を指揮するのはウルだ、リーダーに指示を仰ぐ。
「僕が殲滅しよう」
そう言い一歩踏み出したウル。
グェ!!!
潰れたカエルの様な潰れた悲鳴が響き渡る…全員の視線がウルの足元へ集中した。
でっかいカエルがウルの足の下敷きになっている。
「うわぁ!!!」
「おまっむぐ!」
止める暇もなく声をあげたウルについ俺も声を出しそうになったが夜天羅に口を塞がれたが時すでに遅し、全員の血の気が引く…そしてぎこちない動きで洞窟を見た。
寄生魔物がこちらを見ている。
瞬間、俺たちは示し合わせた様に振り返り全力疾走、それは魔物の動き出しと同時だった。
ガァァアァアァァァァ!!!
──で、今に至る。
「お前!何であそこで声上げんだよ!」
「ハハ!びっくり!」
何を他人事みたいな反応してんだコイツぶん殴ってやろうか?そう思い拳を握る
「まあまあ!戦いやすい場所に出ててきたと考えよう!二人とレミリア、ブランカ、ネローズもそのまま走って少し離れてくれ!」
「えー!?ウル一人で戦うのー!?」
「…わかりましたわ!」
「ゼェ…ゼェ…」
二人はウルの心配をするが約一名がかなりグロッキーな状態だ。
「なに!実力を見せるにはちょうどいいさ!」
ウルは立ち止まり槍を構える、俺たちは言われた通りに離れた場所で観戦…気になっていたウルの武器。
騎兵用突撃槍、ヴァンプレイト呼ばれる形状それを小型化して170㎝ほど持ち手が長めに設定されたおそらく特注の武装。
「あの数…大丈夫なのか?」
「やはり援護したほうがよいかのう?」
「平気だよ!!ウルが大丈夫って言ったからねー!」
「そうですわね、ウルが負けるはずありませんわ」
確かにウルは強いと思う、それは普段の立ち振る舞いでわかる…しかし改めて追ってきた魔物の数を見て不安になるが二人から絶大なウルへの信頼、恋人である二人が言うなら俺と夜天羅は見守るしかない。
───眼前には00は居るであろう動く死体と化した哀れな魔物たち、醜い肉の花を植えられた亡骸…今、解放してあげようか!
僕は体制を低く構え槍を前に出す。
「さぁ!行くよ!」
パリッ…閃光と共に紫電が爆ぜる。
瞬間、僕は直線上にいる魔物たちの上半身を抉ったその場には動かない死体だけを残して。
しかし目の前の動く骸たちは怯むなんて感情はない、次々と向かってくる魔物。
だが、彼らの緩慢な動きで僕は捉えられない。
再び紫電を纏い突撃をする、今の僕を止められる魔物はこの場には存在しない。
「ふむ!やはり数が多いな!致し方ない!」
突撃を凝り返して半分は数を削ったもののまだまだ魔物はいる、僕は空中に飛び彼らを見下ろす、槍の矛先を魔物に向ける。
「広範囲雷撃魔術"セントエルモ・ヴォルカニック」
ガコンッ槍部分が四つに分割し開かれて露出した内部機構は高速回転を始めけたたましい駆動音がうなりをあげる…そして、魔物に対して高出力の紫電を放つ。
瞬間、辺りには雷鳴が響き渡り地面は光に包まれ僕が地面に着地すると辺りは一掃され魔物は跡形もなく消えた。




