第十二録:仲間 二節「真っ当な依頼?」
深い森を抜けて日が差す広い草原を前にして新鮮な空気を吸い込む、そして──
「うおぉぉぉ!?」
「のじゃあぁぁあ!?」
にゃんにゃんにゃおん!?
コイスケは夜天羅の服にしがみつき揺られながら鳴く俺たちは全速力で走っていた、なぜなら──
ガァァアァア!!!
魔物が追いかけてきているからだ、それも何十体と。
「ハハ!まいったね!」
「まいったね、じゃありませんわ!?」
「もっ無理ィ…」
「わー!ネローズ!頑張って!」
同じく並走するウルスタン一行。
半分グロッキーなネローズを支えながら走るはブランカ、大体の原因はこの隣で笑いながら走っているビューティフルバカ。
こんなはちゃめちゃな事になった経緯を遡る───メルサさんたちを見送った数日後。
慣らし依頼が決まったとウルスタンから連絡があり彼らの元に向かう事に。
「やぁ!数日ぶりだね!」
「あぁ、久しぶり」
四人と軽く挨拶を交わして夜天羅と共に席についた。
「早速だが、依頼はこれさ!目を通してくれ」
ウルから手渡された一枚の依頼書。二人でそれを読む、内容は───
「キャリオンウォーカーの殲滅…」
内容はシンプルな討伐依頼、当然等級は一等級…依頼書によると異常発生したキャリオンウォーカーが融合し手がつけられない事態に発展、討伐をして欲しいとの事。
「キャリオンウォーカー…魔物でも異質な存在ですの、なんせ死体の傀儡…寄生の末路ですわ」
「寄生?」
「えぇ…死体に寄生する魔物で寄生後は弱点である核となり死体を操る、同種を吸収肥大しますわ」
「なんとも言い難い生物じゃのう」
レミリアが魔物について説明をしてくれた、不気味な魔物そんな印象を受ける。
倒すのは骨が折れそうだ、核しか弱点がないのは厄介。
「今回は異常発生の上に同種を吸収しすぎて手がつけられないみたいだね!」
「具体的には?」
「わかんないみたいよ?洞窟に引きこもって出てこないらしいわ、オマケに周りに肉花を埋め込んだ子分でいっぱいのようね」
ネローズが俺の問いに答える、どうやら状況はあまりよくはない。
「この依頼を受けた理由は緊急性が高いからのもあるんだよね!」
「そんなにまずい状態なんかの?」
「まずいね!この魔物は羽化しようとしている」
「う、羽化?」
「はい、キャリオンウォーカーは一定の同種を吸収すると次の段階に進みますの」
共食いを前提にした成長…生物として狂っているとしか言いようがない。
「羽化した魔物"ネフィリム"は一等級、依頼はそれを加味しての等級になっておりますのよ」
「実際、ネフィリムは厄ネタなんだよねぇ」
「あー…聞きたくないな」
「コイツらはな!堕天使の落し子にして厄災だね!」
あー…聞きたくなかった。
堕天使の落し子とか碌でもなさすぎる…しかしそうなると経緯が気になる、堕天使と誰の子だ?俺の世界では人間だったが…
「人類は奴らに長い間苦しめられていてね、堕天使どもの実験の末路さ…自分たちの魂の欠片を無理やり人に埋め込んだ」
酷いな…複数の魂を寄せ集め混合それを人に無理やり押し込んだ…結果は魔物。
「…で、堕天使はどうなったんだ?」
「察してるかもしれないが堕天使は死んだよ自分で生み出した魔物に飲み込まれてね」
やはりか…堕天使が今でも生きていたら堕天使も何らかの話題に上がるはず、しかし実際はこの世界の敵は外魔のみ。
「…そのネフィリムとやらは羽化で終わるんかのう?」
「わかりませんわ…なにせ羽化より先の情報がほとんどないものですの」
「噂だとネフィリム同士で融合するとか人を捕食して堕天使になるとか…ま、眉唾ね」
「過去、数度の出現と羽化後に討伐、なぜかその全て一体だけの出現らしいわ」
レミリアとネローズから語られるネフィリムの情報、これが現状判明している情報の全て。
「一つ気になるんだがこんな重要そうな案件、国は動かないのか?」
堕天使の落し子、そんな案件をギルドに任せていることを疑問に思う。
「まぁ…色々とあるんだけどね堕天使関連、要は神様が絡む案件はギルド専門さ!」
「そうなのか?」
「国が関与したら教会が黙ってないですわ」
「"神の痕跡"と呼ばれる聖遺物の管理は教会が管理をしているんだがね…しかし教会が力をつけすぎると
過去の"聖骸戦争"に発展しかねないから間にギルドを挟むことになったのさ!」
「なるほどな…」
その聖骸戦争がどんなもの知らないが国と教会の関係は複雑なんだろう…まぁ俺の世界も似たようなもんか。
「この後すぐにいくのか?」
「いや…引きこもっている場所が遠くてね!色々と準備をしてから行こう…だからまた4日後に集合して出発しようか!」
「了解だ」




