第十一録:新天地 四節「試合前」
「どうだい?当然、報酬も払うし準備金はこちら持ちだ」
魅力的な話ではある。
遺跡を探索…童心を揺さぶられる響き夜天羅を見る、彼女の反応も悪い物ではないがただ少し悩んでいる様子。
「どうする?夜天羅?」
「うーむ…」
「ね!みんなで旅はたのしーと思うよ!」
無邪気なブランカが誘いを促す、みんなで旅か…ウルスタン達とはうまくやっていけそう気がするしこのテンションも慣れれば別になんてことはない
「う、うむ、受けよう」
ブランカの一言と上目遣いに思わず了承した……リリーちゃんと接していた時から思っていたが可愛いに弱いな夜天羅。
「俺も夜天羅に賛成だ」
「決まりだね!助かるよヨリツグ!」
「やったね!」
パンッと一回拍手をした笑顔のウルスタンそれに続いて両手をあげて喜ぶブランカ、それに釣られて場の雰囲気が一気に明るくなる。
「時間もちょうどいい、このまま一緒に食事でもどうだい?」
「いいね、食べよう」
「じゃな〜」
そのまま皆で食事をすることに。
各々が好きなメニューを頼んだ、料理ができるまではブランカ、レミリア、ネローズはコイスケを撫でたりしてコイスケも特に嫌がる様子はなく受け入れている。
「あぁ…そうだウルスタン」
「ウルで構わないよ!親しい者はそう呼ぶからね!」
「…じゃあウル、明日は俺たちの昇格戦があるから用事があるなら明日以外で頼む。」
「へぇ!君たちの今の等級はいくつだい?」
「4等級だ」
「…低くありませんか?ヴォーパルを討伐したのですからもっと上では?」
話を聞いていたレミリアが間に入って疑問を投げかけてくる、俺はヴォーパルの件をかいつまんで説明。
「なるほど!お礼に王族の紅を渡すなんて…その夫妻は余程、良い人なんだろう美しいね!」
「ギルド職員はさぞ驚かれたでしょう」
「まぁのう、面食らっておったのじゃ」
「そりゃ急に一等級が現れたらねぇ」
「びっくりだよねー!」
ウルスタンたちが俺の話を信じてくれているは討伐した証である夜天羅のマフラーが目の前にあるからだろうな、論より証拠だ。
「話が逸れてしまったね、君の明日の予定はわかった…よければなんだけどその試合、見学しても?」
「あぁ、問題ない」
…俺たちの実力を見ておきたいのだろう、まぁこれから組むに当たって必要な事だ。
「ヨリツグは勝つさ!ただ油断は禁物だよ?君たちの様に不釣り合いな等級にいる者が他にもいて試合をするかもしれないからね!」
「肝に銘じておく」
確かに、この可能性はなくはない…だがまだ夜天羅は本気を出したことがないし俺も本気で技を披露したことはない。
「お待たせいたしました」
店員さんが現れ、料理を運んできてくれテキパキとテーブルへ配膳されて食事が全員に行き渡った。
食欲のそそる匂いが鼻孔をくすぐり食欲が湧いてくる。
「じゃあ、頂こうか!」
食器を手に取り皆で食事を囲む談笑しながら楽しい時間が過ぎてゆく、その後はウルスタンと別れ宿に戻った。
──翌日
「夜天羅、準備は?」
「ばっちりじゃ、お前様は?」
「同じく」
にゃん!!
「頑張ってきな!応援してるよ!」
ミレーネさんの声援を受けて俺たちは試合に向け準備を整えて宿を後にしてギルド所有の闘技場へ向かう、闘技場は歩きと馬車で向かう為に馬車へ乗車。
「どんな奴が相手かのう?」
「なるべく楽な相手だとありがたいな」
「だといいんじゃが」
対戦相手を誰かまだ知らない。ギルドの方針で相手の事前調査や対策は禁じられている、破ればその時点で失格だ。
しばらく馬車に揺られ目的の駅に到着再び歩いて目的地へ向かう。
そうしてすぐにギルド所有の闘技場"ガラティエラ"に着く、ここでは昇格戦以外にも興行試合も行われていたりするらしい…俺たちは4等級だから興行に呼ばれることはないが三等級からは声が掛るらしい。
…夜天羅の事があるから珍しさで試合をさせようとするかもしれないが全て断る、彼女を見世物にするつもりはない。
受付へ書類を渡して控室へ案内され試合まで少し準備とストレッチを行う…するとドアがノックされる。
「どうぞなんじゃよ〜」
「やぁ!ヨリツグ来たよ!」
「失礼致します」
「します!」
「お邪魔するわ〜」
開かれたドアから現れたのはウル一行、ウルを先頭にレミリア、ブランカ、ネローズが入室し緊張していた俺たちのそのにぎやかさに緊張がほぐれていく。
「どうだい?調子は?」
「絶好調だ」
「じゃな!」
俺たちは元々体が頑丈な部類だしそうそう体調を崩すことはないが護衛任務の疲れが残っていたがそれも昨日で回復し俺も夜天羅も調子はすこぶるいい。
「それは美しい!」
「ありがとうよ」
グッと親指を立ててウインクをするウル。
昨日、一緒に過ごして思ったのがウルの言う美しいはいいね!みたいに気軽なものからストレートに綺麗なものに使う事もあるみたいだ…つまりは幅が広いから雰囲気で理解してる。
武器である刀を鞘から取り出して部品が緩んでいないか確認をする…目貫は緩んでいないか、柄や鍔にガタがないかなど入念に確かめる。
「それが八重剣か、流れる様な滑らかで妖艶な刃…美しいね!」
ウルならそう言うだろうなと思っていたがかなりベタ褒めだ、たしかに現代の日本でも扱いはほとんど美術品になるしこの刀は業物だ。
「ヤテンラさんの武器は弓なんですのね」
「…これかなり弦が重いんじゃない?」
「威力がほしくてのう」
夜天羅も同じく武器の確認をしていたそれを興味津々で見ていたのはレミリアとネローズ、特にブランカは食い入る様に見ていた。
「失礼します、ヨリツグさん、ヤテンラさん試合場の準備が完了しました、ご案内します」
「お願いします」
再びドアがノックされ入ってきたのはギルド職員…いよいよか。
全員で控室から退室し職員の後をついて行く。




