第十一録:新天地 二節「いい奴?」
「わ、わしはヤテンラじゃ」
夜天羅がちょっと引いてる…
まぁ…無理もないか、押しが強いと言うか存在が強いと言うか。
「私はブランカ!」
小柄で活発そうな女性、ブランカはこちらへ元気な自己紹介をした。
その頭には犬?耳が生え、フサフサの尻尾があった。
「わたくしはレミリア」
長い耳が特徴…恐らくエルフ、長い金髪が特徴女性
「私はネローズ」
夜天羅と同じくらいの身長をした黒髪
この人は人間…じゃない、長く細い尻尾が生えていた。
ウルスタンのそばにいた女性はみな異種族
「自己紹介は済んだね
実は僕も噂を聞いて君に興味があったんだ!」
「俺たちに?」
「あぁ!君たちとは他人とは思えなくてね」
なにが?なに?そんな共通しそうな部分は無さうに思うが…
「僕たちは異種族同士の恋人でね!」
「え?誰とじゃ?」
「みんなさ!」
三人を抱き寄せて自信満々で答える
みん…な?あれか?ハーレム的な?
夜天羅の価値観とは違いすぎて絶句していた
かくいう俺も驚いている、複数交際をましてや
全員が納得して仲がいいっていうのは相当レアじゃないか?
「それは…珍しいのか?」
夜天羅と恋人の俺が言うのも何だが…
ハーレムはとりあえず置いておくとしてだ
異種族がいると言う事は珍しいものではないはず
地球でも国際結婚はよくある話。
それぐらい普通のことと思っていた。
「まぁ!普通の異種族ならなんて事ないのだが
僕たちも事情があるのさ!でもここで語るのは美しくない」
前髪を軽く払い、無駄にキメ顔で語る
その様子をウルスタンの恋人三人はうっとりと見つめている。
周りからヒソヒソと話し声が聞こえてくる
…またやってるよ
毎日毎日イチャイチャして…
…でも一等級だからな
どうせ女の力だろ…
爆発しろ…
聞き耳を立てて話を聞くも
あまりいい話は聞かない…最後は僻みだろ。
「すまないね!時間を取らせて時間があれば
いつでもいいここを訪ねてくれ!」
スマートな所作で懐から一枚の紙を取り出した
受け取り見てみると一枚のメモに店の名前が書き記されていた。
…まさか、いつでも渡せる様に用意していたのか?
「じゃあ、待ってるよ!」
「じゃあねー!」
「では…」
「また、すぐにお会いしましょう」
挨拶をすると去っていく四人。
嵐のように現れて嵐のようにさっていった
終始…ウルスタンのペースだったな。
「す、すごい奴じゃったなぁ」
「そうだな…色々とな」
にゃうぅ?にゃあん
俺たちは気を取り直して列に並び依頼窓口へ
少し待ち、受付嬢さんの前に来た。
ギルドカードを渡すと受付嬢さんは。
「あら?ヨリツグさん、ヤテンラさん
お二人とも三等級へ昇格が可能ですがどうされますか?」
意外な事を告げられた、一ヶ月前にギルドカードを作ったばかりだ
そんな早く昇格…思い当たるのはクリムゾン・ヴォーパルの件。
「もしかして…ヴォーパルの件かのう?」
「かもなぁ」
夜天羅も同じ事を思っていたようだ。
俺たちの呟きに受付嬢さんが情報を見た。
「そう…ですね、クリムゾン・ヴォーパル討伐により
昇格ポイントが貯まったようですね」
あれ一回だけでそんなポイントが付与されたのか
儲け物だな…早速受けよう。
「お前様、もちろん?」
「あぁ受けようか!」
夜天羅もその気のようだ、受付嬢さんに昇格の意思を伝える
すると色々と書類を準備してくれた
「では、こちらの注意次項をお読みの上サインをお願いします」
出された書類は昇格戦参加依頼書
注意次項を読みサインをした。
「はい、ありがとうございますでは日程が決まり次第…」
別のギルド職員が受付嬢さんに近づき耳打ちをした
少し迷った表情をしたもののこちらへ提案を投げかけた。
「昇格戦なんですが…お二人のご都合がよければ明日の夕方なら可能ですが…」
「え!?」
「明日か…」
この街に来たばかり、特に用事はないが…隣の夜天羅も少し悩んでいた。
「わしは受けて良いとおもうんじゃが?」
確かに断る理由はほとんどない。
複数人の対人戦に不安があるのは確かだが…
夜天羅と一緒なら大丈夫だろう、絶対に勝てる自信がある。
「だな、受けよう」
「ありがとうございます、では手配してまいりますので少々お待ちを。」
受付嬢さんは書類を持ち裏手に向かう
数分ですぐに戻ってくると一枚の紙を手渡される。
「当日、こちらの用紙をご提示ください
あと、注意次項にもありましたが20分以上の遅刻は
強制敗退になり相手の不戦勝及びポイントの全没収になりますご注意ください」
「了解しました」
「わかったのじゃ」
本当なら依頼を受けて外へ行くつもりだったが
明日のことも考えて俺たちは依頼を受ける事なくギルドを後にした。




