余談「妖界、来るは──」04
「…妖側はこっちに来れるんですね。」
"あっちだけは両方で生きてけるからなぁ…デメリットはあるけどな。"
「そうなんですね…あと慰霊の塔って多分ですけど健護の塔ですかね?」
"このへんでゆうたらそれやな、実際あの塔は慰霊塔やないんや。"
「え?じゃあ…何のための建物なんですか?」
妖が指定した場所なだけはあるな、どうやら普通の慰霊塔ではないらしい。
"あそこは俺らの管轄の建物でな…詳しい事は電話では話せへんねん、明日時間あるか?"
「俺は大丈夫ですけど…青鐘寺さんは休みなんじゃないですか?」
「ん?あぁ気にせんでええよ。俺と飯食いに行こうや、昼の13時に迎えに行くわ。」
「わかりました、ありがとうございます。」
"おう、じゃあな"
青鐘寺さんとの通話が終わり俺はスマホをこたつ上に放り投げた。
「中々に面倒ごとじゃのう。」
「だなぁ…明日は一緒に昼飯食えないな。」
「まーしょうがないのじゃ!」
横にいた夜天羅は俺の腕に抱きつき体重を預ける様に寄り掛かる。
にゃーん
コイスケも鳴きながら俺の胡座の股の間にやって来て丸くなりゴロゴロと喉を鳴らした。
大切な者に囲まれながらこの日の夜は更けていく。
───次の日、土曜日。
いつも通りに夜天羅と朝ご飯を食べ軽く体を動かしてゆったりと過ごした。
「もうすぐ時間じゃのう。」
「時間が過ぎるのが早い…っと、噂をすればだ。」
俺のスマホが震える。
手に取り表示された名前を確認した…青鐘寺さんだ、ショートメッセージで短く"着いたで"と映されていた。
「じゃあ行ってくるよ。」
「うむ、行ってらっしゃいじゃ!」
書院を出る前に短いハグと口付けをしてから扉を開け外を出た。
穏やかで暖かな陽射しが俺を出迎えてくれる、まさに秋と言った感じだ。
長い階段を降りて寺の敷地から出ると──
「お、来た来た。」
青鐘寺さんは車に寄り掛かり缶コーヒーを手に持って待ってくれていた。
「青鐘寺さん!今日はありがとうございます。」
「ええよ、ええよ!さ、乗ってくれ。」
深い青色の車…青鐘寺さんの自家用車なのだろう、見た目は現代車ではなく旧車の様なデザインの趣のある車だ。
青鐘寺さんに続いて俺は隣の助手席へと座る。
「お願いします。」
「おう、行こか。美味い店あんねん。」
キーを回すと一発でエンジンが唸りを上げる、座っていても振動が伝わってきた。
青鐘寺さんは慣れた手つきでギアを入れ車が動き出す。




