第九十一録:流れる平穏に。一節「眠る姉」
「外だー!!」
人工的な光から解き放たれ窮窟な地下から太陽の光と暖かい外気が俺たちを迎えてくれる。
「清々しいのう!」
「だな。」
地下は明るかったとは言えあんな陰鬱な場所に居たから余計に外の空気が心地いい。
外に出た俺たちはツクヨミとレーヴァテインを地面へと着地させた。
「ヨリツグさん!」
着地してすぐに声を掛けてきてくれたのはザディルさん。
その後ろにはハミルトンとユーリカたちが少し遅れてやってきた。
「おや!なにやらゴーレムが増えてますね!」
ハミルトンはツクヨミに近づき興味津々な様子で見回っている。
「ドロシーが頑張ったんだよ!!」
自慢げに胸を張り堂々とした佇まいでレーヴァテイン上に立つドロシー。
「そ、そうなのですか?」
「敵のゴーレムをドロシーの力で奪ったというか何というか…」
「概ねそんな感じじゃ!」
困惑していたザディルさんに軽く説明をしてから俺はツクヨミに乗せていたメアリーを下ろした…相変わらず息はしているが起きる気配はない。
「……この人も…私たちの姉妹…ですか?」
眠るメアリーを目の当たりにしたユーリカが俺を見ながらそう問うてくる。
ユーリカたちと年齢は恐らく倍は違うが…似た顔立ちから察したのだろう。
「そうだな…一番上の姉と思っていい。」
「うむ!お主らの家族じゃ!今は悪人せいで眠っておるのじゃ。」
「……この子は大丈夫なのですか?」
ザディルさんが俺に近づき声を抑えてユーリカたちに聞こえない様にする。
「……正直な話、俺にはわかりません。ドロシー。」
「なにー!」
俺はドロシーを呼び聞かれない様に少しだけ離れてドロシーにメアリーの状態を聞く。
「メアリーは大丈夫なのか?」
「多分、大丈夫だよ!ラグナにコレを渡せばなんとかしてくれるはず!」
ドロシーが抱っこしていた父から小さな板…USBメモリを取り出した。
「うお…」
「縁継どうしたの?」
急に自分の世界でも身近にあった物が出てきて声を出してしまった……無性に懐かしい気持ちになる。
「いや、なんでもないよ。ありがとうドロシー。」
「うん!」
感謝を告げるとドロシーは夜天羅たちの元へと去っていく…俺はそのUSBメモリをザディルへ手渡す。
「ザディルさん、この中には情報が入っています。フラウリンに着いたらあのツクヨミと一緒にコレを渡してください。」
「あのゴーレムもですか!?」
「まぁ…面倒事を押し付けてしまうので役に立てればと思って…」
「ヨ、ヨリツグさんがそう言うなら私からは何も言いませんが…」
ザディルさんは驚きつつも納得をしてくれた、内緒話も終わり全員で集まる。
「じゃあ…ここを離れますか?」




