余談「妖界、来るは──」02
「!?」
夜天羅と同じタイミングで顔を声の方向へと向けた、俺たちが座っている炬燵の少し離れた場所にそれはいた。
「ふふ…」
怪しく笑う黒髪でおかっぱの着物を着込んだ女の子、急に現れ怪しさ満点だが。
「なんじゃ?迷い霊かの?」
「かもしれないな。」
「……」
俺と夜天羅の反応がお気に召さなかったのか含みのある笑みからムスッした表情を作る。
「なによ…アンタら焦りとかないわけ?」
「焦り…ってもなぁ?」
「うむ…ここの結界は不浄な魔は入って来れんからのう。」
「例外が入ってくるとか思わないの!?」
怒りながらもこちらを心配しているのかどうかわからない発言が飛び出す。
「この結界を作った来空は千里眼持ちだったからのう、何も心配する事はないのじゃ。」
「ふぅん…千里眼持ちね。通りで神威が生まるわけ。」
「……今のでお前が迷い霊じゃない事はわかった、何を目的にここへ来た?」
邪悪な者…ではないがそれは性質の話で思想なんかは別の話、俺は警戒心を隠さずに相手にぶつける。
「ふふん!よくぞ聞いてくれたわ!私は座敷童子の雫よ!アンタに言伝を持ってきたのよ!」
「ざ、座敷童子!?」
見た目は確かにそれっぽくはあるが…これは驚いた、しかしだ妖怪ならこの座敷童子をすぐに退避させないといけない。
「お主は見習いじゃろうに。」
「む……」
夜天羅の言葉に雫は再びムッとした顔をして軽く夜天羅を睨む。
「な、なによ!悪い!?」
「いや、むしろ良いのじゃ。お主が座敷童子ならわしの邪気にあてられてえらい事になるのじゃ。」
「ひっ……」
脅しではないと感じた雫がさっきの勢いはどこえやら途端に怯えてしまった。
「妖怪じゃない…のか?」
「うむ、座敷童子は特殊での座敷童子に成るまでは幽霊なんじゃ。」
「へー…」
「と、とにかく!私は言伝を伝えに来たの!
よく聞きなさい!"次の満月の深夜、慰霊の塔にて待つ"よ!」
「慰霊の塔で待つ?…いやそれより誰からの──」
俺の言葉を待たずに雫は忽然と消えた、かくして謎だけを残して。
「そそっかしい子じゃ。」




