第九十録:あるべき場所。五節「完了」
「〜♫」
待ちの時間…コックピットで足をパタパタと遊ばせながら鼻歌を歌うドロシー。
モニターにはパーセンテージが表示されておりシステムのダウンロードを進めていた。
「わっ!トトあつーい!」
ドロシーは笑いながら指でつんつんと触る、熱いって事は機械的にあんまりよろしくはない。
「…トトは大丈夫なのか?」
「これぐらいなら大丈夫だよー!!」
モニターのアップロード表示は八割ぐらい、このままのスピードならあと数分もしないうちに完了するだろう。
「……うーん。」
「お前様、どうしたんじゃ?」
「いやぁ…オーディンをさ俺たちが使わずにソレイユさんに渡そうかなって。」
「えー!?」
まぁドロシーには悪いとは思う。
最初は戦力を期待していたがふと思ってしまった。
「ごめんドロシー。でもあまりにもソレイユさんに厄介事を押し付けすぎてると思ってな。」
「確かにそうじゃなぁ」
「そっか!お世話になってるもんね!それにラグナがいるから操縦も大丈夫だね!」
「ありがとうドロシー。」
急な思いつきにも関わらずドロシーは納得して受け入れてくれた。
俺は思わずドロシーの頭をわしゃわしゃと撫でた。
「わ〜!!」
笑顔を浮かべてなすがままにされたドロシーの頭は雑に撫でたせいで髪は少しくしゃっとなる。
「あっ!終わった!みんな離れてー!!」
システムのアップロードと再構築が終了しドロシーがコックピットから離れる様に促す。
夜天羅はドロシーを抱っこして俺はトトを掴みオーディンから離れた…手に持ったトトは体感で真夏のほっかいろだった。
「あっつ…」
「ね!」
オーディンから離れてすぐに機体が動き出した…ドロシーの事は信用しているが元敵だった者に一応の警戒をする。
'システム再起動……機体名の変更を確認…再構築の実施を行います。'
「さ、再構築?」
「うん!!」
俺が疑問を口にした次の瞬間、オーディンがその形を変え始めた。
変形、とは違う。姿形が根本から変化している…一体どうなってる。
「………映画みてぇだな。」
目の前で起こっている事態が昔に見た金属生命体の実写映画を彷彿とさせる。
「しっかし…すごいのう、どうなっておるんじゃ?」
「これはねー!レーヴァテインとかにある修復機能を使って組み替えたんだよ!大きな再構築はできないけどね!」
ガチャガチャと金属がぶつかる音と姿の変わるオーディンを眺めていると──"再構築完了…機体名ツクヨミ、飛行モードへ移行。
再構築が終わった機体はレーヴァテインに似た戦闘機の様な形へ。
「…ツクヨミ?随分と和風だな。」
「わふうー?」
「わしらの世界の神様の名前に似てるのじゃ。」
「へー!!レーヴァテインのシステム内にあった名前だよ!奇遇だねー!」
まぁ…恐らくだが柏木博士が名前の候補としてシステム内部に残っていたんだろう。
「よし…じゃあ上に戻るか、俺がツクヨミに乗ってメアリーを運ぼうか。」
「うむ、頼むのじゃ!」
ツクヨミの操縦席はレーヴァテインと瓜二つで操作感も同じだった、そうして俺たちはそれぞれ別れて機体に乗り地下からの脱出した。




