第九十録:あるべき場所。三節「残された者」
「急いでアヤにユーリカたちを任せて飛び出してきましたから今から戻るのでカトレアの遺体は私が地上まで運びましょう。」
「おお!助かるのじゃ!」
「ザディルさん、お願いします。」
「ではまた地上で会いましょう。」
そうしてザディルさんは布でカトレアを包み剣を浮遊させて上に戻っていった。
「あとは…メアリーだな。」
「まだ気を失っておるのか動かんのじゃ。」
地面に両膝立ちで佇むオーディン。
もちろん動きはない…となれば夜天羅が探知した通り気を失っている。
俺はオーディンに近づき開きっぱなしのコックピットを覗き込む。
「スゥ…スゥ…」
静かに寝息を立てるメアリー。
コックピットから出したい所ではあるが…暴れられるのは困る。
「夜天羅…ヘルプ。」
「メアリーを出すのを手伝うのかの?」
「察してくれて助かる。」
夜天羅に助けを求めて二人でメアリーをコックピットから出した、幸いな事にメアリーは起きることはなく眠り続けていた。
「起きないな。」
「起きないのう」
「おきてー!!」
にゃうにゃんにゃ!
ドロシーはメアリーの頬をぺちぺちと叩きコイスケも便乗して反対の頬を触っている…が、反応がない。
「とりあえず…俺たちも戻るか。」
「そうじゃのう。」
夜天羅にメアリーを任せて俺はレーヴァテインの準備を始める。
「うーん…….」
その最中、ドロシーが地面に佇むオーディンへ視線を向けていた。
敵もいない事から自由に遊ばせていたが…何か気になる事でもあるのだろうか?
そうしているうち、レーヴァテインの準備が終わる、変形だけで時間はそう掛からなかった。
にゃーん。
「ん?コイスケ?どうした?」
いつのまにか俺の足元にいたコイスケは前足で俺の靴を軽く叩いていた。
目が合ったのを確認したコイスケは別の方向を見つめると──
にゃあん、にゃ
再び鳴き声をあげて靴を叩く。
コイスケが何かを訴えていると感じて俺も同じ方向へと視線を向けた。
「なんだー?どうし──!?」
その視線の先はオーディン…の、コックピットへ半身を埋めて外から足しか見えていないドロシーだった。
「うぉい!?」
「なんじゃぁ!?…おぉい!?」




