第九十録:あるべき場所。二節「理解し得ないとしても」
「それじゃあ…私の時間も限られている様だし仕事をしようかな。」
「や、やだ!やめて!!死にたくない!!」
怯えて助けを乞うカトレア…だがアモンさん気にすることなく近づき無慈悲にカトレアの顔へ手をかざす。
「……!!」
「おぉ!?」
拘束していたカトレアから力が抜けて人形のように垂れ下がる…もはや生気を感じることはない。
「はい、回収完了だ。」
アモンさんがカトレアへかざした手には淡く光を放つ揺らめく人魂が収まっていた。
「……カトレアはどうなちゃうの?」
ドロシーが不安げに問いかける、まぁ…カトレアの末路は恐らく目も当てられないだろいな。
「そうだね…コイツは純粋な悪魔ではない、ゆえに消える定めにある。」
悪魔は嘘をつけない、アモンさんはドロシーにありのままを伝えた。
消える…記憶を消して輪廻転生をするなんてものではなく文字通りの消滅を意味する。
「…そう…なんだ……。」
「ドロシーよおぬしが気に病むことない、これも奴がしてきた事の責任じゃ。」
「うん…でも、一回くらいはちゃんとお話したかった。」
夜天羅はドロシーを抱きしめ頭を撫でて慰める、話か…一度殺されかけてなおドロシーは対話をしようとした、だが結果はカトレアからの拒絶だ。
奴には引き返す道も別の道もあった…しかし選んだのは確実な破滅へ向かう坂道、その末路。
「おぬしは優しいのう…その気持ちは忘れぬ様にするんじゃ。」
「…うん」
「すまないな…君とカトレアを対話させてあげたいがルールでね。」
「ううん…いいの、ありがと!」
ドロシーは自身の感情に一区切りをつけてアモンさんへ感謝を述べた。
「ふふ、君の様な子が幸せになる事を願うよ。さて…私はもう行くよ、手間を取らせたね。」
「いえ、アモンさんもお気をつけて。」
「またいつかのう。」
「バイバーイ!!」
アモンさんと別れの挨拶を告げる、次の瞬間には何もなかった様に消えた。
「まさか本物の悪魔に会えるとは…。」
ザディルさんが感慨深い顔をしながら呟く。アモンさんが消えた事でこの闘いが終わったのだと実感して力が抜ける。
「う、うーむ…どうするかのう」
一息つき現実に目を向ける。
俺たちに残されたのはカトレアの遺体…それにまだ生きているであろうメアリー。




