第八十八録:専用機 五節「過負荷。」
ゴトン…重たい鉄の塊が地面へ落下する。
俺の刀がオーディンの右サブアームを切り落とした。
つかさず、レーヴァテインがその腕を回収。
「縁継すごーい!!じゃあ解析するね!」
「このッ─────!!」
オーディンが反撃をしようとした瞬間、再び壁へと激突した。
夜天羅の鞭が絡められている事に気がつかなかった様だ………もしやコイツ。
「お前、オートとマニュアルを入れ替えてるだろ。」
「………」
ガラガラと崩れた瓦礫からオーディンが立ち上がり態勢を立て直す。
無言、カトレアは何も答えない。
あれだけ流暢に喋っていたというのに図星を突かれて黙っている。
なるほど、どこかおかしいと思っていたがこのオーディンには操縦にパターンが三つ。
カトレア単体、メアリー単体、そして二人同時。
オートはメアリー、マニュアルはカトレア。
一番強いのはもちろんメアリーが操縦、補助する時だけだ。
強さにムラがあると交戦中から小さな違和感を感じていた…今思えば初撃の際が顕著。
最初は俺たちを舐めていたこともあり完全な自身による操縦をしていた。
しかしそれが敵わないと即座に判断しメアリーに変えて戦闘。
恐らくカトレアはドロシーと戦う時はマニュアルになる。
自分の世界を壊し続けているドロシーはどうしても自らの手で殺したい…理由としてはそんな所だろうな。
「ハハ……つけ上がるなよ。」
「つけ上がるさ。科学者ならわかるだろ、お前とは戦闘の試行回数が違うんだよ。」
俺たちとカトレアとでは経験値が違う。
奴は悪魔になり何百年かは知らないが、その間は研究漬けだったはずだ。
「言ってくれるねぇ……なら僕からは"科学は経験を凌駕する"と宣言しよう。」
怒気を孕んだその声の後に───オーディンの様子が変化する。
全身の装甲が展開、赤い機体だったはずが塗装が剥がれていき白と金へと色が変化、センサー類は緑から赤へ。
「オーディン……オーバーロード。」
「……」
夜天羅とアイコンタクトを交わしオーディンの変化に警戒心を最大にして武器を構える。
見た目の派手な変化…だけではない。
カトレアがオーバーロードと言うだけのことはある、離れている俺たちにまで届く熱気。
文字通り過負荷状態、あれがオーディンの本領か。
「君ら二人を晒し首にした後にゆっくりとそこの死に損ないを殺す。」
「お前さんは同じことしか言わんのう。」
「それが僕の"正義"だからねぇ!!」




