第八十八録:専用機 四節「僕の世界」
「そりゃあ、心から話してないからね!」
「ならお前さんの価値などないのう、好き勝手に言葉を垂れ流すとよいのじゃ。」
夜天羅がピリついている?……いや違う、嫌悪の感情がかなり出ている。
気持ちは理解できる、カトレアは一見すると飄々として掴みどころのない奴に見えるが…その実は内側にドロドロとした執着と怨嗟を抱えて溢れている。
「そうだそうだー!!」
「……………」
それにカトレアはドロシーが喋るとこうなる、黙ったり怒りを爆発させたりと抑えが効かなくなり戦闘中に隙が生まれる。
タチが悪い事に奴自身が感情的になってもメアリーが補助している為に普通に戦えてしまう。
「……あぁ…イライラするなぁ。」
冷淡なカトレアの声が雰囲気を変える、圧倒的な殺意が漏れ出し空気が気持ち悪い。
カトレアの怒りが限界を迎え一周回り冷静になる。
「やっぱりさぁ…お前を殺さないと落ち着かないよ、お前は僕の"研究"にいちゃ駄目なんだよねぇ…だから早く死ねよ。」
「っ!?」
オーディンが突っ込んでくる、それも予想以上のスピードを繰り出し一瞬だけ対応が遅れる。
俺と夜天羅は一手遅れたがレーヴァテインへ迫るオーディンに向かう。
段階的かは定かではないがオーディンの力が上がっていく…出し渋っていたのか?
何にしろ上限が不明なのが怖い、これから実行する"作戦"が心配だ。
「わ!?」
レーヴァテインはジャベリンを使い後退。
"今は"それでいい変にカトレアに警戒されると面倒だ。
カトレアに悟られないよう秘密裏に立てた"作戦"に影響してしまう。
「早く死ね!なぜ生きている!?なぜ人になっている!?お前は魂のない機械だ!!」
夜天羅の時みたいな適当な揺さぶりではなく感情が篭ったカトレアの言葉。
奴の過去と言葉から予測するに…ドロシーが生きている事が研究に不都合、だから許せない。
カトレアにとって"研究"とは"世界"だ。
「よく回る口じゃ。」
追いついた夜天羅がオーディンとレーヴァテインの間に入り引き離そうと攻撃を仕掛ける。
「煩わしい!!」
夜天羅の攻撃を正確に防御する、怒り狂っているがやはりメアリーの操作が邪魔をする。
「こっちもだ!!」
注意を俺と夜天羅に向ける為あえて攻撃を宣言しながら刀を振るう。
「あぁッ!!クソッ!!!」
俺と夜天羅の妨害によりカトレアの目的であるドロシーが遠ざかっていく。
それに苛立ち平静を保つ事ができない、カトレアからすれば自身の"世界"の諸悪の根源に手が届きそうで届かない。
俺たちへ苛立ちをぶつけるように攻撃が速く激しくなる、一人で対処するのは難しかっただろうが夜天羅と二人ならなんて事はない。
「邪魔を────」
「まずは一本。」




