第八十八録:専用機 一節「オーディン」
「へぇ……」
核心を突かれてイラついているのかドロシーの事になると途端に感情が揺らぐ。
「何をそんなドロシーに執着してんのか知らんがお前の嫌がらせで揺らぐほどドロシーは弱くないぞ。」
俺はさらにカトレアを煽ってやる、感情に振り回されたその隙が出来れば…奴を斬る。
「……アハハッ面白い事を言うじゃないか。僕がその死に損ないに執着?」
カトレアの笑い声が静かな格納庫内に響き渡る、怒りを通り越したゆえの笑いなのかはわからないがあたりの空気は笑いとは程遠いピリついた刺す様な雰囲気が漂う。
「あー…笑った、笑った。」
目に溜めた涙を拭って息を整えるカトレアは右腕を上げて指を鳴らした、すると───
ゴウンッ!!
カトレアとメアリーの背後から大型のゴーレムが現れた。
レーヴァテインより一回り以上の躯体…20メートルはある赤い機体。
「さて……そろそろ殺すよ。せめていい戦闘データになってくれ。」
そう言ってカトレアたちは二人して赤い機体に搭乗、ゴーレムを起動させる。
「いい事を教えてあげるよ!この機体"オーディン"はあんな"量産機"とは違う、ワンオフ機だから油断しない事だね。」
相変わらずの自信過剰な態度。
それに加えてクラレントをあんな呼ばわりとは…傲慢だな。
カトレアが操るオーディンは槍を構えて戦闘体制へと入った。
「ドロシー、レーヴァテインの中へ。」
「うん!」
レーヴァテインは人型へ変形、ドロシーはコックピットの中に。
"半自動戦闘モードへ移行、搭乗者ドロシーの指示を待機。"
アナウンスが流れてレーヴァテインは剣を構えたまま次を待つ。
「古いねぇ!……そんな型落ちでどこまで張り合えるか楽しみだね!」
「よそ見しすぎだ!」
俺はオーディンへ接近、刀を振り下ろす。
しかし…刃が防がれた。




