余談「妖霊事件」26
「無理な相談だな。」
「そうかな?どの道…私を殺せば君はコトリバコの呪いをその身に一身に受けて死ぬ。」
「だから?」
「どうせならなるべく多く巻き込んでやりたいじゃないか。」
自暴自棄。
今の比良坂はもう全てがどうでもいい、それこそ存在している意味を見出せない。
しかし、底なしの怨嗟を抱えたままでは許せない…自分の溜飲を下げる為に他者を巻き込み虐殺をする、到底許せるはずがない。
「なら尚更ここでお前を殺す。」
「英雄気取りか?青臭い正義で自ら犠牲になるとは…なんても羨ましいなぁ!!」
「そうか!」
妖術による弾幕が瞬時に展開されて射出、俺は回避しながら比良坂へ接近する隙を伺う。
……相手は腐っても鎌倉時代で最強と謳われた妖術師だ、決して油断などできない。
「ハハハハ!どうした!?」
絶えず放たれる妖術の弾丸、避けるのはさほど難しくないが…誘われている。
明らかに弾幕が薄い箇所がある、攻めるには絶好の機会だろう。
だが攻めれば比良坂の必殺の一撃が飛んでくるはずだ。
「やはり死ぬのは怖いか!?口だけの偽善者めが!!」
「…………」
明らかな挑発。
しかし俺はそれを無視して回避に専念する…今はまだ攻める時じゃない。
(早く私を斬れ!その時が貴様の最期だ!コトリバコの"原呪"を埋め込んでやる!神威といえどひとたまりもない!!)
「威勢の良さは言葉だけだなぁ!!」
激情のままに妖術を振るう比良坂の弾幕がさらに激しくなる。
「っ!」
俺が誘いに乗ってこないとわかり手段を変えた、弾幕を激しくし俺が攻めざる得ない状況に追い込むつもりだ。
激しい弾幕に回避が追いつかずに騒速丸で捌きながらも回避を優先する。
まだダメだ、合図が来ていない。
「何を待っているかは知らないが…流石に貴様でも厳しいだろう!!」
「そう見えるならお前の目は節穴だ。」
「眼球がないからそうかもなぁ!!」
そう…笑いながら答える、心底楽しそうな笑みを浮かべて。
もう比良坂の情緒がおかしい、喜怒哀楽のコントロールができていない。
本来なら肉体で制御する感情だが…奴の肉体はとうの昔にミイラになっている。
いままではその強靭な精神で保ってきたんだろうが全てが崩れ落ちた今、比良坂はただただ凶悪な悪霊。
「アハハハハ!!」
「………っ!?」
狂乱の笑い声と共により一層、激しくなる攻撃、あらゆる角度から襲いかかってくる。
激しい弾幕に被弾がで始める、一発はさほどダメージにはならないがこれが増えれば洒落にならない…その時────。




