第八十七録:名前を呼ばれた日 三節「因縁との向き合い方。」
「じゃ…俺とザディルさんは地下へ攻め込む、夜天羅たちはユーリカたちを頼む。」
「うむ!任せるのじゃ。」
役割りを決めて動き出そうとした時…ドロシーが俺の服を掴んで軽く引っ張る。
「ねぇ…ヨリツグ、ドロシーも行く!!」
力強い瞳が俺を見上げる。
カトレアとの戦いにドロシーを参加か…普通ならダメだろう。
しかしドロシーから負の感情は感じられない、復讐を悪い事とは一概に言えないが…俺と夜天羅はドロシーに業を…呪いを背負って欲しくない。
ドロシーの人生はまだまだ長い、その人生に決して消えない呪いに苛まれるなんて看過出来るはずがない。
ただ…同時にドロシーが抱えている心をモヤを晴らすにはカトレアとの訣別が必要とも思っいる。
俺の心は同行の方へ傾きつつある、それにドロシーから負の感情を感じないからだ。
わかっている、実際に会えばどうなるかなんて未知数。
ただでさえカトレアはドロシーにとってはエミリーの仇であり……自分を瀕死に追いやった張本人、冷静に考えれば同行なんて許しては行けない……なのに───
俺はドロシーから顔を上げた、夜天羅と目が合う………互いに思っている事は同じだった。
「ザディルさん。」
「私はヨリツグさんやヤテンラさんの想いを尊重します、おふたりが熟考した末の答えですから。」
「……ありがとうございます。」
俺はザディルさんへ感謝を告げてドロシーへと視線を戻した、変わらず揺るがない強い意志の篭った瞳と視線が交わる。
「…ドロシー。絶対に俺と夜天羅の言う事を聞いてくれるか?」
「!!…うん!!」
「そうか…よし。ザディルさん、すみませんが俺たちだけで行かせてください。」
「わかりました、ユーリカたちはお任せください…もしもの事態でも私が控えていますからね。」
「ありがとうございます。」
これほど頼もしい後ろ盾はそうそうないな。
本当は全員で行動出来ればよかったがユーリカたちのことを考えるとそうもいかない。
「ご武運を。」
「はい!」
そうして…ザディルさんとハミルトン、ユーリカたちを森に残して俺たちはカトレアが構えているであろう地下へと向かう。
「うーむ…反応はあるのじゃが……二人いるのう。」
「その感じだとまだなんか残してるみたいだな。」
相変わらず動きのない敵に警戒しながらも歩みを進めていくと──
「……ここが地下の入り口か。」
入り口…と言うにはあまりに大きいソレは実際にはクラレントが出撃した場所。
不気味な事に開きっぱなしの入り口に警戒心が上がっていく。
「誘っているみたいで気持ち悪いな。」
「じゃのう…」
「レーヴァテインで降りようよ!」
「だな。」
レーヴァテインを人型戦闘形態から飛行形態へ変形させて運転席へ跨り全員が乗ったのを確認して地下への入り口を下っていく。




