第八十七録:名前を呼ばれた日 二節「困り事。」
噛み締める様にして名を口にするユーリカの雰囲気が明るくなった。
「どーお?いい名前でしょ!!」
「うん…ありがとうドロシー。」
この瞬間から彼女はメアリーなどというシステムでなく一人の感情と思考を持った人間だ。
「うぅ…ん…」
そうこう話しているうちにまだ意識の無かった三人が目を覚まし始めた。
「みんなー!おはよ!!」
「ん…?おは…よう?」
「あのね───」
ドロシーがわかりやすく簡単に今の状態を説明、やはり彼女たちの状態はユーリカと同じく俺たちとの戦いやカトレアの記憶はない。
そしてドロシーは三人に新たな名前をあげた。
ボタン、ジンジャー、リンダと命名。
「ユーリカたちは姉妹だから仲良くね!」
「そう…ね。」
ユーリカたちは顔を見合わせた…お互いに顔を見て自分たちが姉妹だと察してはいるが何せ記憶がない、実感はあまりわかないだろう。
「とりあえずは大丈夫そうじゃ。」
「だな、あとは…」
「彼女たちの受け入れ先ですね。」
今までドロシーの行動を見守ってくれていたザディルさんが問題点を口にする。
「はいはい!それなら簡単じゃないですか!」
ハミルトンが名案があると言った風な様子で手を上げた…少し予想ができるがハミルトンの次の言葉を待つ。
「またフラウリンに話をつければ受け入れてくれるはずですよ!」
「あー…いやまぁ、そうなるよなぁ….」
ユーリカたちの処遇で真っ先に頭に浮かんだのはフラウリンではある。
「しかしのう…この間にラグナを保護して貰ったばかりじゃ。」
「四人ぐらいなんですか!いけますよ!」
「また根拠のない自信を…」
やや呆れ顔のザディルさんが額に手を当てる…これはハミルトンのやつザディルさんにかなり迷惑かけてやつだな。
「とはいえ…ハミルトンの言う通り第一候補ではあります。お願いできますか?」
俺はザディルさんの言葉に頷き彼方ノ鏡を取り出してソレイユさんへ連絡をする。
"はぁい、どうしたの?"
「ソレイユさん、実は──」
今の状況を簡潔に説明してラグナと同じホムンクルスを保護をお願いした。
"貴方たちも大変ねー、いいわよ。連れて来ちゃいなさい。"
「ありがとうございます!」
ソレイユさんはあっさりと了承してくれて受け入れ先はすんなりと決まり問題は解決。
「大丈夫だそうです。」
「ソレイユ様には感謝ですね…ヨリツグさんもありがとうございます。ここの件が終わり次第に私が連れていきましょう。」
「俺の方こそ任せちゃって…頼みます。」
「え?あとは脱出するだけじゃ?」
ハミルトンが疑問を口にした…確かに終わりの様な雰囲気が流れてはいるが俺たちには最後の大仕事が待っている。
「アヤよ、カトレアが残っとるのじゃ」
「あっ!かんっぜんに忘れてました!」
そう、まだカトレアを確保していない。
クラレントが撃破されたにも関わらず反応がない…まさか逃げたのか?




