第八十六録:ホムンクルスの夢 四節「崩れ始める。」
「このまま!!」
上がっていくばかりのドロシーのボルテージと解体速度にブラックボックスの上部が完全に消失している。
蓋の開かれた箱だがまだ安心はできない…ブラックボックスの自爆機能が解除できていない。
箱のシステム、その根幹に自爆機能が根付いてしまっていた。
「もー!!めんどくさいなー!!」
解体は順調ではある、しかしドロシーは何か異変を感じていた。
根拠はない…が、第六感とも言える部分が警鐘を鳴らし焦りを生み出している。
「だめ!冷静にならなきゃ!縁継や夜天羅がそーだもんね!」
自身を鼓舞していつも見ていた二人の事を思い浮かべる。
優しく…暖かな人たち、いつも冷静に周りを観察して危険を教えてくれる夜天羅。
激しい戦いの中でも平静を保ち時には大胆に突破をする縁継。
「ふー……」
ドロシーは目を閉じてさらに集中、解体を進めながらも箱に異変がないかをくまなく探し出す何か…何か見落としや隠されたデータが無いかを。
「あ!?」
ドロシーが見つけた小さな違和感。
それはデータとして見るには小さな物…例えるならば部屋の隅に落ちている砂粒。
これは今のゾーンに入っているドロシーだからこそ発見できた。
「わー!?なにこれー!!」
データの中身を慎重にスキャンしてそのデータが何かを知ることができた。
データの中身、それは…データを解体処理をされた場合に自動で自爆システムへアクセスするというもの。
「もー!こんなもの!」
トラップを警戒したドロシーはそのデータを隔離処理して無力化。
さらにこの一つ以外にもあるかもしれないと警戒して即興で簡易的なシステムを組み自動で走らせた。
「ふん!!」
障害を排除して満足げなドロシーは解体を早めてゆく。
危機を事前に防いだブラックボックスはもう1/3は解体されてしまっていた。
「…うん、もう大丈夫かな!!」
根幹のシステムに手を伸ばしたドロシーは忌むべきブラックボックスの自爆機能の破壊を試みる。
「うーん……」
複雑なシステムに頭を抱えるドロシー。
積み上げられた倒れかけのジェンガ、それが自爆機能に対するドロシーのイメージ。
何か一つでも横着をしてしまえば一瞬で瓦解して自爆機能が作動してしまう。
ドロシーはゆっくりと崩さぬ様にしてシステムを取り払ってゆく。
「もー……あっ!そうだ!!」
良い方法を思いついたドロシーは早速実践していく、それは…特定の層ごとに防護壁を張り一気に崩していく方法。
システムを細かく遮断して崩す、普通なら簡単では無いが今のドロシーには簡単な事だった。
「へへん!」
高いジェンガが崩れていく、これを作った側は苦心したであろうものを完膚なきに壊した。
「もうすぐだよ!まっててね!!」




